嘘を言っては困ります



基本的に万事屋の報酬は物納もアリである。
ただしそれは、糖分とか食料とか糖分とか糖分を指すのであって、決してこんな怪しげな薬品でもいいという意味ではないのだ。
と思いながら銀時は、依頼人が置いて行った小瓶をじっと見つめていた。
もちろん一粒で元気モリモリお腹いっぱい、一週間何も食べなくても大丈夫、ついでに怪我も病気も治っちゃう、なんてクスリではない。
なら何故、受け取りを拒まなかったのかといえば、無下に押し返してしまうには心が疼いたからである。
といっても、疼いたのは良心ではなく好奇心だったが。
だって『透明になれるクスリ』だというのだ。興味があって当たり前だろう。
使い方次第では大富豪だって夢じゃない(決して悪用はしないでください、と注意書きがされてるが、こんなモノ悪用する以外のどんな使い道があるというのだ)
だが、実際のところ銀時の関心は金儲けの方向には向いていない。
ぶっちゃけ、頭の中は土方の私生活を覗き見たい欲望でいっぱいだ(言うまでもなく、これも立派な犯罪行為である)
いやしかし、誰だって興味あるだろう。
あの常にカッコつけた、もとい、気を張った男が、誰も見てないところでどれだけ緩んでるのか、知りたいと思うのは人として当然のことだと思う。
ついでに、弱味なんかも握れたらすごい嬉しい。まさしく趣味と実益。一石二鳥。
というわけで、実行に移すにあたって、新八の協力を得てクスリの効果のほどを確認した。
まず本当に透明人間になれるのか否か、半信半疑だったのだが、なんと嘘じゃなかった。本当に完全に消える。
ただし、透明になるのはあくまで銀時自身だけ。服とか持ち物は、そのまま宙に浮いて見える。つまり、完全な透明人間になるためには全裸にならなければならないということだ。
いくら周囲からは見えないと分かっていても、これはなかなか心理的な抵抗がある。銀時に露出趣味はないのだ。
しかもクスリの効きはじめと切れかけは、じわじわと半透明状態が数分続いたりして結構気持ち悪い。
それから、透明になったとはいっても存在自体が無くなるわけではないので、壁をすり抜けたりはできない。逆にいえば、物に触ったり持ち上げたりはできるということだ。
触れることはできるが他者に銀時の声は聞こえない。けれども、銀時のほうでは周囲の物音を聞くことができる。
使用上の注意としては、これぐらい把握しておけば良いだろうか。
そして、決行の日。
万事屋でクスリを飲み、完全に身体が消えたところで服を脱ぎ、銀時はいざ屯所へと向かったのであった。

無事、土方が仕事から戻る頃合いを見計らって屯所に忍び込むことに成功した銀時であったが。
(おいおい、マジですかコイツ……)
大いに肩透かしをくらっていた。
薄々見当はついていたものの、実際見事なまでに土方は仕事人間だった。
食事も入浴も他の連中よりずっと遅い時間に一人で手早く済ませてしまい、それ以外はひたすら仕事・仕事・仕事。
煙草を吸いながら、山のように積み上げられた書類をひたすら黙々と処理するだけ。
時折眠たそうに目をこすったり欠伸をしたりするのが、唯一新鮮で可愛かったが(その度に、部屋の隅に備えつけてある小さな冷蔵庫から缶コーヒーを取り出しては眠気を振り払っていた。そこまで頑張らないで、明日にするなり他のヤツにやらせるなりすればいいのに、と銀時は思った)
書類をすべて片付け、ようやく土方が布団を敷き始めたのは、とうに日付も変わった丑三つ時。夜番の者を除き、屯所はとっくの昔に寝静まった頃だった。
今夜のためにたっぷり昼寝をしておいた銀時ですら、強烈な睡魔に襲われるほどの時間である。
ちょっとだけ邪な期待で見つめる銀時の目の前で、土方は倒れこむように布団に横たわると、あっという間に寝息をたて始めた。寝つきがいいというより、限界を越えて働いているので、横になった瞬間意識が飛んでしまうのだろう。
布団ににじり寄り、その疲れた寝顔を見下ろして、しばし銀時は逡巡する。
もしかして、ひとりエッチとかしてくんないかなー。でもって、銀時の名前とか呼んでくれないかなー。なんていう儚い望みはあっさりと潰え、大して美味しいことも楽しいこともないままに、土方は眠ってしまった。
疲労の色濃い寝顔を見れば、このまま寝かせておいてやりたいと思う。
しかし、それでは何のために全裸になってまで透明のまま何時間も過ごしたのか。いや、ずっと土方の傍らでその生活ぶりを眺めるのもそれなりに楽しかったが。それでもちょっと虚しすぎる。
疲れてるところ本当に可哀想だとは思うが、やっぱり愉しませてもらわないことには帰れない。
所詮銀時は、自分の欲望最優先の男なのだ。
その代わり優しくするから。気持ち良くさせてやるから。
この疲れきった表情から、満ち足りた幸せな顔で眠れるようにしてやるから。
土方は夢だとでも思っていればいい(淫夢を見たのは欲求不満のせいだと誤解して、自分から銀時の元を訪れてくれたりしたら最高なのだが)
とはいえ、いくら疲れていようとも、土方は剣士だ。
不穏な気配を察知すれば、すぐさま覚醒してしまうだろう。
夢うつつ程度にはなってもらうが、完全には目を覚ましてしまわないよう、留意しつつ悪戯しなければ。
まずは土方の姿がよく見えるよう、庭側の障子を開けて月明かりで室内を照らす。
そして、そうっと掛け布団を剥いだら、もぞもぞと身じろいだ。どんなにそっとしたところで、躯にかかる重みがなくなり外気に触れれば何も感じないはずがない。
それでも土方が目を覚まさないのは、疲れているせいばかりではなく、銀時が全力で「敵じゃない。安心して寝てろ」オーラを発しているからだ。異変は感じているが、起きようかどうしようか迷っている、といったころだろうか。
わずかに寝乱れた夜着から垣間見える素肌が、青白く冴えた月明かりを浴びてほんのりと輝き、なめらかな陶器のようだ。
ひんやりと硬質そうに見えるその肌に指先を這わせれば、温かくて柔らかな弾力があり、とても触り心地が良い。
そのまま指をすべらせれば、なめらかな胸の上にぷっくりとした出っ張りが触れる。
まだ小さくて柔らかいそこを擽るように捏ねていると、徐々に芯を持ち硬くなりはじめた。
「ん……」
いつもよりさらに甘い吐息をもらして、少しだけ土方の瞼が開いた。
ぼんやりとした視線が宙をさまようが、むろんその瞳に映るのは見慣れた自室の天井だけだ。何も異状がないのを確認すると、またとろりと瞼を落とす。
その様子が妙にあどけなくて、銀時はくすりと笑みをこぼした。
尖りかけの乳首をきゅっと引っ張って、ふぅ…、と気持ち良さげな溜め息を聞きながら、この後どうしようか考える。
せっかく透明になったんだし、土方はよく眠ってるしなので、何かいつもならできないようなことがしたい。
とは思うものの、大概のことは土方が何と言おうが強行してきた認識はあるので(でも、本当の本気で嫌がることはしてない、はずだ)いざどうしてやろうかと考えると、丁度いいことが見つからない。
いや、ヤりたいことはまだまだいーっぱいあるのだが、道具など土方にも見えるものは使えないし、あんまりハードなプレイをして起こしてしまいたくもない。目を覚まさない程度の悪さでヤってみたいこと――というのが難しいのだ。
思案しながら無意識のままに、夜着の裾を割り手触りの良い太腿を撫でまわしてると、「そういえば」と思い出したことがあった。
以前、部屋で酒を飲んでいた土方の足の裏を何の気なしにくすぐったことがあるのだが。
あの時確か土方は、ちょっとびっくりするぐらい過剰にくすぐったがっていた。
大抵の人の場合、確かに子供の頃は足の裏をくすぐられるとたまらなくムズムズするが、年齢を重ねるにつれ段々と鈍感になってくるものだ。
しかし、小さな子供なみにくすぐったがった土方は、反射的に銀時を盛大に蹴り飛ばしてくれたのである。あわや骨が折れるんじゃないかというほどの暴挙に、以来あまり土方の脚には触れていなかったのだが。
くすぐったい、ということは開発すれば性感帯になるということだ。
銀時に足の指をしゃぶられて快感にのたうちまわる土方なんて、想像しただけで勃起モノだ。脚を愛撫されて腰砕けになる土方の痴態というものを、ものすごーく見てみたい。
未開発のまま放置しておくなんてもったいなさすぎるだろう。
眠っている今なら蹴られる心配もないし、この機会にこの綺麗な脚を最高の性感帯にしてやろうじゃないか。
めでたく目標も定まり、それではいよいよお愉しみ開始といこうか――

全部脱がせてしまうと後で着せるのが面倒なので(土方には夢だったと思ってもらいたいので、終わったら元通りにしておかなければならないのだ)帯だけを解いて前を全開にし、するするっと下着を脱がせる。
さっきちょっと乳首を弄って甘い声をあげさせたりしたが、まだ兆してはいない。
この、慎ましく眠っている土方の欲望の象徴が、脚だけでどこまで泣いて濡れてくれるのか、とても愉しみだった。最終目標はもちろん、脚だけで達かせることである。
右の足首を掴んで持ち上げ、まじまじと観察する。
いつ見ても綺麗な脚だ。
脚フェチのケなどないはずの銀時さえも、うっとりと見蕩れさせる美脚。
太すぎず細すぎず硬すぎず柔らかすぎず、筋肉のつきかたも丁度よくて思わず頬擦りなどしたくなる。
毎日ブーツを履いて駆けずり回ってるはずなのに、驚くほど柔らかくて綺麗な足の裏を、舌全体を使ってべろりと舐め上げた。
男に限らずたとえ女だって、足の裏なんか舐めたいとも触りたいとも思わない。
なのに土方の脚だけは、しゃぶり尽くしたくてたまらない。味なんかついてるわけもないのに、なんだかとても美味しそうに見えるのだ。
暴れられないよう左脚を膝で押さえつけ、右足首をしっかり掴んでれろれろと土踏まずを舐め回す。
「は、ァッ…!」
思った通りの感度の良さだ。濡れた声をあげて、土方が躯を波打たせた。
さすがに今度こそ目が覚めてしまったみたいだが、まだ完全に覚醒したわけでもなさそうだ。夢うつつのまま、心地好い快感の波に漂っていようか迷っているのかもしれない。
「ひっ……」
だが、銀時がぱくりと親指を咥えた瞬間、夢心地は消え失せた。
しなる背中を足元から見上げるのも、普段とは違う角度でなかなか扇情的な眺めである。
「ぁっ…ぁっ…」
まだ覚醒しきってないせいだろう。いつもよりずっと素直に甘い声をあげながら、土方は必死に何が起こっているのか足元を見ようとしている。
けれど無論、その瞳には何も映らない。
「は、ぁぁっ…!」
左右の親指を同時に咥えられ、ねっとりと舌でねぶられて、切なげに土方が身を捩る。
早くも花芯が反応を見せ始めていて、思っていた以上に土方の脚は敏感らしい。
他の指も一本一本丁寧にしゃぶり、柔らかな指の股を舌でつつき、踵には軽く歯を立てる。その度に腰がびくびく跳ねるのが愉しくてたまらない。
「ひぁっ!」
そして、唇がふくらはぎに移動した時、土方はさらに顕著な反応をみせた。
「や、やめっ… だめ、だっ… ァッ!」
見えない何者かの腕から逃れようと、ままならない脚で懸命に振り払おうとしている。
滅多に見られない可愛らしい反応が新鮮で、銀時はますます調子に乗った。
「も、やっ… ぎんっ…!」
ふいに名前を呼ばれてドキリとするが、朦朧とした土方が無意識に口走ったのだろう。
つまり、こんな不埒なマネをしかけるのは銀時しかいないということで、大いに喜ばせてくれた。ここで他の男の名前でも口にされたら、ちょっとどころじゃなく穏やかではいられないところだ。
喜ばせてくれたご褒美に、ふくらはぎを愛咬みしながらぐしょぐしょに濡れそぼっている花芯をきゅきゅっと扱いてやった。
「ハ、アッ…!」
嬌声をあげ、もっと触れと言わんばかりに土方が腰を手のひらに押し付けてくる。
意地を張って限界を越えても我慢する土方もソソるが、たまにはこんな素直なのもイイ。
感じまくって悩ましい喘ぎをあげながら、誘うように妖しく躯をくねらせる土方を見ていると、どうにも我慢ができなくなってきた。
本当はもっともっと一方的に啼かせたかったのだが、こんな風に乱れる土方を見せつけられては、土台辛抱などできるはずがない。
先端から溢れ出た愛液で濡れて淫らにヒクつく蕾に、ゴクリと喉を鳴らして指をのばす。
「ぁふっ……」
なんなく飲み込んだ指を、熱い襞が歓迎するようにざわざわと蠢いて包み込む。
相変わらず指だけで達ってしまいそうなほど、土方のナカは絶妙にイイ。
半分眠っていて余計な力が入っていないぶん、2本目3本目と楽に埋め込むことができた。
もちろんその間、脚を責めることも忘れていない。
「あっ…あっ… も、や……」
限界を訴えて、汗に湿った黒髪がぱさぱさと振られ。
ずっと弄られっぱなしの脚は、ピンと力が入ったまま痙攣するように小刻みに震えていた。こんなに変な風に力を入れていたら、明日は筋肉痛になるんじゃないかなどとぼんやり考える。
射精したさにしきりに腰をくねらせる土方を、巧みに躱して焦らしつつ、綻んだ蕾に猛った肉棒を突き入れるのと同時に、銀時は咥えていた親指を強く吸った。
「ぃ、あああっ…!」
挿入の衝撃に耐え切れず、精を放ってしまった土方が中の銀時をぎゅっと締めつける。
土方の逆襲に銀時は、くっ……、と歯を食いしばって耐えた。
挿れられただけで達してしまう土方はカワイイが、銀時が挿れただけで出してしまっては醜態だ。たとえどれほど気持ち良くても、意地で耐え切り抽迭を始める。
「んっ… んっ… は、ぁっ……」
揺さぶられる律動に合わせて甘い喘ぎを零す土方の花芯が、再び頭をもたげてくる。前立腺を突かれるたび、脚を愛撫されるたび、ぐんぐんと成長して見えない銀時の腹筋に擦りつけられた。このヌルヌルした感触がまた、喩えようのない気持ち良さなのだ。
その感触をより味わおうと、ついつい大きく腰をグラインドさせて激しく打ちつけてしまう。
その結果、土方のみならず自分自身をも追いつめる結果となり、ほどなく銀時もまた、再び絶頂に達した土方とともに、奥深くへと精を放った。
クスリの効果の一つに、透明になっている間銀時から放出されたものは、見えない・残らないという点がある。つまり、どんなに中で出しても土方の負担にならないので、安心していくらでも注ぎ込むことができるというわけだ。
もっとも、後始末と称して銀時の精液で溢れる淫蕾に指を挿れて掻き回し、啼かせることも大好きなのだが。
一度射精したことで余裕が生まれ、脚責めを再開した銀時は、幾度も土方を絶頂へと導き、それはもう心ゆくまで堪能させてもらった。
喘いで悶える土方が可愛くて愉しくて夢中になっているうちに、気がつけばクスリが切れる時間が目前に迫っている。
ここで姿を見られてしまっては意味がない。
名残を惜しみつつ、土方を眠らせるために優しい手つきで髪を何度も梳く。
髪を撫でられるのが好きな土方は、元々半分眠った状態だったせいもあり、すぐにスースーと規則正しい寝息をたて始めた。
当然のことながら疲労の陰はより濃くなってしまったが、銀時が悪戯をしかける前のような険しい表情は消え、安らかで幸せそうな寝顔に満足する。
夜着を元通りに着せ直し、掛け布団をきちんと掛けて、胸のあたりを上からぽんぽんと軽く叩く。
目覚めた土方がどんな表情をするのか、とても見てみたいところだが。
とんでもない夢を見てしまったと思い込んだ土方が、次に銀時に会った時にどんな顔を見せるのかを楽しみに、今日のところは引き上げることにする。
結構感情がだだ漏れな土方なので、何事もなかったようなフリをしながら、恥ずかしくて銀時の目を直視できないだろう。
そんな土方をちくちく苛めることを考えるとワクワクする。
それはきっと、今夜あたり。
期待に胸を躍らせながら、夜が明けかかった新宿の町を万事屋へと帰る銀時の足取りは弾むように軽い。

土方の寝不足が解消される日は、まだまだ遠いようだった。


◆END◆

脚責め大好き


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