覆面教師 〜銀八篇〜



「土方君。何で呼ばれたかは分かってるよね?」
ねっとりとした声で担任に問われても、土方は完全な無表情を崩さなかった。その整いすぎた硬質な容貌からは、肯定も否定も読み取れない。ただじっと銀八の目を見つめ返しているだけだ。
今はテスト休み期間中で、部活動も休みのはずである。だが、剣道馬鹿ともいえる土方たちは大会が近いこともあり、朝から登校して部活に励んでいた。
日も暮れかかり、帰ろうと部室を出たところで銀八に呼び止められたのだ。
用が終わるまで待っている、という近藤たちを
「遅くなるかもしれないし、土方はちゃんと責任もって送り届けるから」
と説得して先に帰し、銀八は土方だけを根城である国語科準備室に招き入れた。
他の国語科教諭たちは、午後の早い時間に採点を終えとっくに帰宅してしまっており、部屋には銀八と土方以外誰もいない。室外にも近くに人のいる気配はなく、校舎内はシンと静まり返っていた。
返事をしようとしない土方はとぼけているのだ、と判断した銀八は机の上に2枚の紙を並べる。
「これはどういうことか、説明してくれるかな?土方君」
採点されたばかりの答案用紙。
2枚とも、右上にやる気のない銀八の字で「93」と赤ペンで書かれている。
○だらけの中、3箇所だけつけられた×はどちらも同じ場所のそれは、片方は土方のものであり、残る1枚には「近藤勲」と記入されていた。
それでも眉一筋動かさなかった土方だが、内心では舌打ちしたい気分だった。
(あんだけ全部丸写しはヤバイって言ったのに……カンベンしてくれよ、近藤さん……)
しかも、特に自信のない答えには印をつけておくから、絶対そこは写しちゃ駄目だと言っておいたのに。
「同じとこを同じ間違い。誤字も一緒なら記述問題まで一字一句違わない、ってのはどういうことだろうねえ?」
イヤミなヤツだ、と土方は思う。
偶然だなどという言い訳が通用するはずがないのは、土方とて十分承知している。近藤の普段の授業中の様子から、たとえマグレでもこんな点数が取れるわけがないと、3年Z組の人間なら誰だって分かる。
そう。要するにカンニングだ。
それも教科書やノート、カンニングペーパーを作ってのカンニングではなく、優等生な友人の答案用紙を丸写しするという、最も安直な不正行為だった。
当然、銀八もすべて承知のうえでネチネチ絡んできているのである。
「赤点スレスレの親友を助けようっつー友情はウツクシイけどね。これがもうちょっと控えめだったら、センセイも大目に見てあげたんだけどね」
嘘つけ、と心の中でだけツッコミを入れる。面倒事に関わるのが煩わしいだけだろう。
「けど、こうもあからさまだとなァ。いっくら俺でも気がつかなかったフリもできねェわけよ」
まあそうだろうな、とどこか他人事のように土方は考える。
「どうする?2人揃って停学になるか?」
できれば避けたい事態であったが、それしかないだろうと土方は肚をくくった。
カンニングをしたのは近藤であり、答案を見せただけの土方は知らぬ存ぜぬで被害者の立場を押し通すこともできた。が、そんなつもりが毛頭ないのは銀八にも分かっているのだ。
(近藤さんが気にしちまうな……)
土方自身は別に、一度や二度停学をくらったからといってどうということもないと考えているが、自分のせいで優等生の土方に傷をつけてしまったと(実際その通りなのだが)近藤は罪悪感を覚えるだろう。
いや、処分が二人だけで済めばいいが――
「部長と副部長が揃って不正したんじゃあな。剣道部も当分部活停止。試合は出場辞退、ってとこか?」
最も恐れていたことを、さらりと銀八は言ってのけた。
初めて土方の表情が変わる。
「せっかくこんな休みの日にまで稽古に励んでたってェのに、他の部員は可哀想だなァ」
心にもない同情めいた台詞を吐く銀八の口を殴りつけてやりたい衝動にかられたが、机の下でぐっと拳を握りしめて耐える。カンニングを咎められ逆上して教師を殴った、なんてことになったら更に悪い結果になるだけだ。
「……見逃して欲しいか?」
口元に厭な笑いを浮かべ、銀八は上目遣いで土方の顔を覗き込む。
普段全くやる気のない、死んだ魚のような目と評される銀八の、思いがけず鋭い視線に土方は目を逸らしたくなったが、奥歯を噛んでギリっと睨み返した。
ここで目を逸らしたら、全てが負けだと思った。近藤と剣道部のため、これから銀八が突きつけてくるであろう条件が(それがどんな内容かは予測もつかないが)どんなに無茶苦茶であっても受け入れるしか土方に道はない。だが気持ちまで負けるわけにはいかなかった。
「……ンなコトしていいのかよ」
部屋に入って以来初めて、土方が口を開いた。
いくらやる気がないとはいっても、仮にも教師が生徒の不正行為を見逃すなど、あってはならないはずだ。
「ま、俺の胸ひとつってとこ?さすがに近藤にこの点数をくれてやるワケにゃいかねーが、再試験受けさせて本来の実力通りの成績をつけてやるぐれェなら許容範囲だろ」
さすが悪事慣れしてるという感じだ。銀八は全く悪びれない。
「……近藤さんには何て?」
「あー?まァ、インチキしねーで堂々実力でテスト受けやがれ、ぐれェでいーんじゃねーか?ゴリラに難しい説明はいらねーだろ」
暗に、土方との裏取引は告げないと言う。
こんな言い方をされてしまっては、土方もこれ以上反論できない。
もとより、選択の余地など始めからないのだから。
「……で?俺にどうしろっつーんだ」
本当はズバリ「いくら欲しいんだ」と言ってしまいたいところだが。
土方の家は近隣でも有数の名家であり、一方銀八は毎月給料日前にはピーピー言っているくせに、いざ給料が入るとすぐにまたパチンコで摩ってしまうという、およそ教師らしからぬダメっぷりを遺憾なく発揮しているからだ。
(いくらオヤジが金持ちっつったって、俺の自由にできる額なんてたかが知れてんだぜ……それとも家の金を持ち出せとでも言うつもりか……?)
脳内ですっかり担任教師を恐喝者に仕立て上げていた土方は、しかし銀八の提案に意表を突かれた。
「別にオメーは何もしなくていいぜ?」
どういうことだろうか。
わざわざこんなところに呼びつけて、ネチネチと遠まわしに脅しておいて何もしなくていいとは。
銀八は一体どういうつもりなのだ。
多少脅しを交えたただの忠告だったとでもいうのだろうか。これに懲りたらもう二度とこんな真似はするなと。
――いや。銀八はそんな親切な男じゃないはずだ。
(まさかやっぱり近藤さんに……!)
カンニングをしたのは近藤なのだから、やはり本人にお咎めがあるのか。
だが先ほど、近藤には余計なことは伝えないと言っていたはず――
混乱する土方に、銀八はうさんくささ全開の優しげな笑みを見せる。
「大丈夫。土方は初めてだろうから、マグロでいいよ。センセイが全部やったげるからな」
「は……?マグロ……?」
何故いきなりマグロ?寿司を奢れということか?トロでも食べたいのか?
ますます困惑を深める土方に
「ま、いいから俺に全部任せときなさい」
任せるって何を?土方は寿司屋で注文したことがないだろうから、銀八が全部頼むって意味か?
了解?と同意を求められ、意味不明なまま仕方なく土方は頷いた。頷くしかなかったのだ。
「オッケー。じゃ、こっちにおいで?」
ちょいちょい、と猫の仔でも呼ぶように手招きされムッとしたが、こんなことでいちいち腹を立てていたのではキリがない。小さく息を吐き、土方は立ち上がった。不機嫌を隠そうともせず無言で担任の前に立つ。
銀八は、だらしなく椅子に腰掛けたまま、ふーっと煙草の煙を吐き出し、ポンポンと自分の膝を叩いた。
「ハイ、ここに座って」
動物扱いの次は子供扱いかっ、と憤りが突き抜け土方は一歩も動こうとしなかった。
「ホラホラ」
だが、土方の怒りになどまるで頓着しない銀八に腕を引っ張られ、強引に座らされてしまった。
「なんなんだよっ!」
わけがわからなくて怒鳴りながらも、まがりなりにも教師の上にどっかり座るのも憚られ、土方は膝先にちょこんと腰掛けた。
なのに、またしでも腕を引かれ背中は完全に銀八の胸に凭れる形に、そして揃えていた膝は開かれ銀八の足を挟むように姿勢を直されてしまった。
どうしたらいいのか分からず、カチコチに固まってしまった土方を、後ろからやんわりと銀八が抱きしめる。
「土方さあ、もしかしてダイエットとかしてんの?」
「あァ?するわけねーだろっ」
「だってなんか、すっげー軽いし細いぜ?」
気にしていることをズバリと指摘された。
少なくとも、一般的男子高校生並みには食べているはずだし、稽古だってしっかりやってる。たぶん沖田はもちろん、近藤と比べても練習量は多いと思う。
なのに、近藤のように逞しい筋肉がつかない身体は、土方にとって長年のコンプレックスなのだ。
「腕も脚もこーんな細いし、肩幅だって全然薄いしよ」
肩や腕や脚をペタペタ触りながら、銀八はさらに追い討ちをかける。
「てめェには言われたくねェよ」
と反論しかけて口を噤んだ。
身体を密着させて初めて気づいたが、どちらかというと細身に見える銀八が、意外と筋肉質で胸板も硬くて厚そうな感じで、土方としてはかなり悔しい。
「それともまさか、メンズエステ通ってるとか」
「バッ……!んなワケねーっ!」
「いやいや。でなきゃありえねーって。なに、このお肌。真っ白でツヤツヤスベスベよ?メンズじゃなきゃレディースエステか?毎晩おウチでパックでもしてんのかってんだ」
なんだか逆ギレ気味の口調は完全にからかっている。いや、馬鹿にされている。
背はそこそこ高くて目つきこそ凶悪なものの、実はひ弱な軟弱者、と嘲られているのだと土方は感じた。
「髪の毛もサラッサラだし、どこもかしこも触り心地ががいいなァ、オイ」
自分にはない髪の感触を、銀八はたっぷりと愉しむ。
「なァんかイイ匂いもすっしなー」
項に鼻先をうずめ、クンクンと音を立てて匂いを嗅がれたりすると、土方はなんだか居心地が悪くなる。ついさっきまで部活で汗を流していたのだ。シャワーを浴びたわけでもなし、汗くさいことはあってもいい匂いなどするはずがない。
「なァ。お前ホントに男?実はワケありで女の子が男のフリして、ってヤツじゃねェの?」
頬や髪を撫で回し、匂いを嗅いでいた銀八が突拍子もないことを言い出した。
「ンなワケねーだろっ。テメーはいい歳こいてマンガの読みすぎなんだよっ!」
普通に考えて有り得ないだろう。入学時には戸籍抄本を提出したし、体育の着替えや水泳の授業、健康診断だってあるのだ。バレないはずがない。第一、
「こんなデカくてゴツくて目つきの悪い女なんていてたまるかっ」
「なに言ってんだ。バレー部とかバスケ部あたりにゃ、お前より縦にも横にもでっかい女子なんていくらでもいるし、目つきには男も女も関係ねーよ」
反論には正論が返ってきてしまった。実際バレー部やバスケ部には、土方どころか近藤より大柄な女子生徒もいる。
まあ、土方が言いたかったのはそういうことではなくて、要するに自分は紛れもなく男であるという主張だったのだが。
「隠さなくたっていいんだぞ。なんか事情があんだろ。センセーは味方だ」
「違うっつってんだろっ!」
土方が喚いている間に、銀八はぷちぷちとシャツのボタンを外してしまう。
「ひっ!?」
前触れもなくいきなり直に胸に手を入れられ、思わず声をあげてしまう。まさかそんなところを触られるなんて予想だにしていなかったのだ。
「あらら、ぺったんこ」
と、本当に女相手に口にしたら間違いなく殺されそうな単語を銀八はぺろりと吐いた。
「そっか。貧乳を気にして男のフリしてたんだな。いやいや、恥ずかしがることないぞ。世の中には超貧乳好きな男も結構いるからな。うん」
ちなみに俺も貧乳萌えだ、などと言いながら指先でくりくりと突起を転がす。
「ちが、って言って……俺、は…おと、こ……だっ……」
みるみるうちに硬く尖りはじめ、息があがる。
「隠さなくていーって。こーんな感度イイなんて、男じゃ有り得ないから」
くりくりこねこね。潰したり抓んだり突っついたり転がしたり。
「ァァッ……!やめ、ろ…って……」
弱々しく銀八の腕に手をかけても、何の制止にもならない。
「んー。やっぱ貧乳ちゃんは感度よくってサイコー」
ニヤニヤといやらしく緩んだ口元が容易に想像できる口調だ。ついでにれろん、と耳の後ろを舐めてみれば
「ゥァッ!」
甘い声をあげて、土方の背が反り返った。銀八もびっくりの盛大な反応だ。
「うんうん、ビンカンでイイ感じ。……もしかして、もう濡れてきちゃった?」
「んっ…やめっ……」
頭を振って逃れようとする土方の柔らかい耳たぶを唇で挟みながら、銀八はかちゃかちゃとベルトを外す。
「ハ、アッ!」
「あー。やっぱり濡れちゃってるね」
下着から取り出した土方の果実は、すっかり熟れて先端から蜜をしたたらせている。
生まれて初めての他人の手の感覚に肩を揺らしながらも、これでようやく銀八も土方が男だと信じて悪ふざけをやめるだろうと安堵に少しだけ力を抜いた。
もし土方が本当に女性だったら悪ふざけでは済まされないが、土方としても決して他人に触れ回りたい事態ではないので、このまま何もなかったことにしてやるつもりだった。
「も、わかった、だろっ……」
「ん?なにが?」
とぼけたように訊き返している間も、銀八の手は休むことなく瑞々しい土方の果実をやんわりと扱いている。
「お、れが…おとこ、だ、って……」
だがら手を止めろ、と言外に訴えたら、耳元でくすっと笑われた。
「知ってるよ」
「え……?」
「土方が立派なオトコノコだってことぐらい、最初っからよーく分かってるって」
楽しくてたまらない、という様子のくすくす笑いが止まらず、ようやく土方はずっとからかわれていたことに気づいた。
「てめっ……!」
「なんでも真に受けちゃうのが、土方の可愛いところだよねー」
先刻までのどこか毒を含んでいた声音から一転、普段通りの調子に戻った銀八は心底愉しそうだ。
「でも土方がオンナノコよりもキレイで可愛くってスベスベで色っぽくって感じやすいのはホントだよ」
自分の言葉を証明するかのように、土方の肌に手を這わせて身悶えさせる。
「ほらな。ちょっと触っただけでビクビクして先っちょから液がドクドク溢れてくる」
否定したくとも、銀八の手が濡れていてぬちゃぬちゃと粘着質な音を立てているのがはっきり聞こえてしまっては無理だ。
「っと。このまんまじゃ制服が汚れちまうから脱いじまおうな」
言うが早いか、土方の下肢から下着ごと制服を抜き取ってしまった。
あまりにも恥ずかしい格好に、気が遠くなりそうな土方の意識を呼び戻すかのように「あっ!」と銀八が大きな声をあげた。ビクっと土方の肩が揺れる。
「そういえばさ、俺、鍵かけたっけ?」
指差す先は部屋のドア。
――知らない。
少なくとも土方は掛けてないし、銀八が掛けたかどうかも気づかなかった。
それはつまり、施錠されてないかもしれないということで。
「ま、いっか。どーせこんな時間じゃ誰もこねーだろーし」
「じょっ……」
冗談じゃない。万が一誰かがドアを開けてしまったらどうするんだ。
こんな。
こんな、シャツはかろうじて腕に引っかかっているだけで前は全開。下肢にいたっては、ソックスを履いてる以外は剥き出しなうえ、あろうことかドアに向かって大きく脚を広げさせられたこんな格好で。
もしも誰かがあのドアを開けたら――
たとえば。
先に帰ってろと銀八に言われた近藤や沖田が、実は待っていてくれて。中々戻ってこない土方を心配して様子を見に来る、なんてことがないとは限らない。
もし。
もし近藤たちにこんなみっともない姿を見られてしまったら――
「や、やだっ……!」
銀八の腕から逃れようと、半泣きで激しく身体をくねらせ始めた。
慌てるあまり言葉や仕種が幼くなってしまったようで、可哀想だが可愛い、と逃さないよう土方をしっかり掴まえたまま人でなしなことを銀八は考える。
「大丈夫だって。誰もこねーよ」
何の根拠もないのに大丈夫を繰り返す。
しかも、口では大丈夫と宥めながらも、手は休まず動いており屹立した土方自身をリズミカルに扱きたてている。
「ァッ、ァッ……」
銀八の手の動きにあわせ、土方の口から艶めいた声が漏れた。
自分でも知らなかった男のツボを的確についてくる銀八の巧みな手淫に、若い土方は瞬く間に快楽の坂を駆け上っていく。
「はな、せ… 出、ちま、ウッ……!」
「ん、わかった」
ふるふると身体を震わせる土方の要望通り銀八があっさり手を放すと、自分で望んだことなのに「ぇ……」と呟ききょとんとした。
射精寸前で放り出され、途方に暮れた様子の土方に銀八はこっそりと忍び笑いをこぼす。口では放せと言いながら、身体のほうは極みを目指してひたすら一直線の状態だったのだろう。
どうしていいか分からず、もどかしげに身じろぎする土方をしばし愉しんでから、銀八はすでに先走りの液で濡れている手のひらにたっぷりとローションを垂らした。(最初からこういうつもりで土方を呼び出したので、当然準備は万端である)
ちゃんと体温に馴染ませてから、未開の蕾にそっと塗りこめたのだが
「ひ、ぁっ!」
それでもビクンッと激しく土方の背がしなった。
わずかに腰が浮いた隙に、ツプリと中指の先をもぐりこませた。
――その途端。
「あ、あああーっ!」
衝撃にそのまま土方は白濁した液を放出してしまったのだ。
これには少なからず銀八も驚いた。
「へえー」
ハァハァと肩で荒い息をつく土方に、ニヤニヤと銀八が囁く。
「そっか。土方、ココが好きなんだ。まだ第2関節までしか挿れてないのにイッちゃうなんてなァ」
自分でも信じられなくて混乱する土方は、銀八の言葉にさらに追いつめられていく。
「てっきり初めてだろうからゆっくり優しくしてやろうと思ってたのになァ。後ろだけでイケちゃうほど開発されてたなんて、とんだインランだったんだ」
もちろん、土方が男はおろか女性経験も全くないことを承知のうえで言葉で嬲る。
実際、未経験でありながら指を挿れただけで達してしまうほどヤラシイ身体をしてるのは確かなのだし。
「じゃ、遠慮も手加減もいらねェな。腰が抜けるまで感じさせてやるから期待してな」
言い終わらないうちに、途中まで埋めていた中指をズブリと根本まで押し込んだ。
「ヤッ……」
イヤダなのかヤメロなのか。だが言葉とは裏腹にきゅっと指を締め付ける土方は、想像以上にエロの素質が大アリの身体の持ち主だった。
どこまで淫らに咲き乱れるのか、確かめずにはいられないほどに。
「明日にでもドアに等身大のでっかい鏡つけとくな」
正面のドアに大きな鏡。それはつまり、あられもない姿が丸映しになってしまうということで――
その光景を想像してしまったらしい土方に、きゅうっと、更に指が締め付けられる。
「それともマジックミラーのほうがいいか?」
きゅきゅうっ。
「ふーん。見られるの好きなんだ」
「……っ!」
もはや声も出せずひたすら首を振る。ぎゅっと閉じた眦からは、細く涙が零れ落ちていた。
「じゃあ今度、夜の大江戸公園でも行ってみるか。そこらじゅうエッチしてるカップルばっかりだから紛れちまえば恥ずかしくないぜ?覗きのオッサンもわんさかいるけどな」
きゅううーっ
「あ、そんなんじゃ物足りねェ?じゃ、新宿東口前の広場なんかどうよ?」
きゅうきゅうう。
「通行人いっぱいだし、電車からも見えるぜ。アルタのスクリーンにも映っちゃったりしてな」
ココとか、といつのまにか指を3本に増やしていた挿入部を小刻みに揺らし、
「イク時の土方のヤラシー顔とか。どアップで映ったらスゲーよな」
半ば催眠術にかけられたように、耳元で銀八が囁く光景が、土方の脳裏でリアルに再現されてしまっているのか。
「ヤ、アッ、アッ、アッ……」
指こそ一応挿れてるものの、ただ挿れてるだけで言葉で責める以外何もしていないのに、再び頭をもたげた土方の性器はすでに爆発寸前まで高められていた。
(プライドの高いヤツだから羞恥プレイはキクと思ったけど、ここまでテキメンとはな……)
嬉しい誤算、ってやつだろう。
言葉と妄想だけでここまであられもない痴態をさらしてしまっては、今後銀八に抗うことは難しいだろう。あんなに感じてたくせに、の一言で身体を疼かせ銀八の要求に従うに違いない。
(じゃ、最後にとっておき)
「そーだ。今度教卓でヤってみよーぜ。クラス全員が見てる前でさ」
ビクビクビクッ――と。
クラスメイトたちの幻の視線に犯され、激しく全身を痙攣させると土方は二度目の精を勢いよく放った――


◆END◆

言葉責めは国語教師の得意技?


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