覆面教師 〜坂本篇〜 |
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ぼんやりと目を開き上体を起こそうとした土方は、後頭部に走った痛みに思わず呻き声をあげた。 「おー、気がついたがか」 慎重に声のしたほうを振り向けば、黒いもじゃもじゃが土方を見下ろしていた。 「さかもと、せんせい……」 本人も耳を疑うほど頼りない声だ。 「おんし、脳震盪を起こして運ばれてきたんじゃ。覚えちょるか?」 問われて記憶の糸を辿る。 そうだ。 部活を終えて防具を外し、引き上げようとしたところでいつものように総悟が「土方ァァァ、死ねェィ!」と背後から振りかぶってきたのだ。 毎度のことなので、余裕で避けられるはずだった。 ところが、避けようとしたところへ 「土方さん、タオルどうぞ」 武道場は部外者立ち入り禁止のルールを知らないらしい1年の女子生徒が、タオルを持って駆け寄って来ようとしているところだった。 土方が避けてしまうと、竹刀は間違いなく彼女を直撃してしまう。総悟のほうも土方が避けるものと思っているので全く手加減しておらず、土方の陰になっていて少女の姿は目に入っていないだろう。 全国レベルの腕を持つ総悟の一撃を素人の、ましてや女の子が防具もなしで受けたりすれば大怪我どころでは済まないかもしれない。 咄嗟にそう判断した土方は、敢えてその場を動かなかった。 土方が避けようとしないのに気づいた総悟は、慌てて竹刀を止めようとしたのだがわずかに間に合わず、大分勢いは削がれていたものの後頭部を強打してしまったのである。 そこまで思い出し、土方ははーっと大きく溜息をついた。 (みっともねェ……) いくら女子生徒を守るためだったとはいえ、総悟の攻撃を受けて脳震盪とは。勝ち誇った総悟の高笑いが聞こえてくるようだ。(実際には、笑うどころか真っ青になって保健医の坂本を呼びに来たのだが) しかも、なんだかまだ頭がグラグラする。 「こら。あんま頭動かすな」 首を振って意識をはっきりさせようとする土方の後頭部に、坂本の手がそっと添えられた。冷んやりとした手のひらが気持ちいい。 うっとりと瞼を下ろす土方にクスリと笑うと 「もちっと休んどき」 片手で後頭部を支えたまま、軽く肩を押して再びベッドに横たえさせた。 「どっか他に痛いとこはないがか?」 言いながら優しく頭を撫でる。 「だい、じょ…… テッ!」 大丈夫、と言いかけて、坂本の手が右肩に触れた瞬間、土方は顔を歪めた。 「あー、痣になっちょるのお」 どうやら倒れる時、床に右肩をしたたかに強打したらしい。 「手首は捻ってないがか?」 肩から二の腕、肘を通って手首を軽く掴まれた。痛みはない。関節には問題なさそうだ。 「力は入るか?ちょっとわしの指握ってみ?」 言われてきゅっと坂本の指を握り締めた。 「大丈夫みたいです」 「そうか。そらあ良かった」 良かった、と言いつつ坂本は、先程とは逆に今度は指先から上へと手のひらを這わせる。その触りかたがさっきとはどこかちょっと違って、なんだか土方はもぞもぞするように感じた。 「左はどうじゃ?」 マッサージするように左腕全体を揉まれ、土方は何度も「大丈夫ですから」と言わねばならなかった。すると今度は 「背中は打っちょらんか?」 と背中を撫でまわされ、何故かその度にビクビクと身体が震えてしまい、どこか神経でも傷めたのかと土方は不安になったが、坂本が何も言わないところをみると心配いらないのだろうか。 「ついでじゃ。脚も診とこうかの」 まだ道着のままだった袴の上を、坂本の大きな手のひらが這い回る。背中を撫でられた時の比ではないくらい、土方の全身が激しく跳ねた。 誰かにこんな風に脚を触られたことなどなくて、身の置きどころのなさに土方の戸惑いは大きくなるばかりだ。 「あ、あの、せんせっ…… ホントにもう、大丈夫、ですからっ……」 心配してくれるのは有り難いがもうほどほどにしてくれ、と思いながら必死に身体を捩って何とか坂本の手から逃れようと試みる。 だが、放れるどころかますます際どいところを触られて、次第に土方は焦り始めた。 「股関節を痛めてたら大変じゃきに」 と脚の付け根を揉まれた時には、思わず坂本の手首を掴んでしまった。 「おお、悪ぃ。痛かったがか?」 下唇を噛んで小刻みに震える土方が痛みを堪えているのだと解釈したらしい。いたわるように撫でられて、どんどん追いつめられていく。 「んん?顔が赤いぞ。熱でも出てきたがか?」 心配そうな声音で尋ねられ目を開けると(いつのまにかぎゅっと瞼を閉じていたらしい)思いのほか間近に坂本の顔があって驚いた。 びっくりと目を丸くする土方に、坂本は口元を綻ばせた。 「ほんに可愛ええのう、土方は」 目尻に溜まった涙をちゅっと吸われ、ひくりと首を竦める。 「いかんぜよ、そんな無防備に男を誘っちゃあ」 悪い大人に喰われちゃうぞぅ、と言うなり赤く染まった耳をぱくりと咥えられた。 「ァッ……!?」 男子高校生とは思えない悩ましい声があがる。 「いかんちゅーとるのに。……止められなくなるぜよ」 いつも能天気といっていい坂本の、聞いたことがないような低くて真剣な声になんだか別人のようでドキリとする。 「土方は脚がエエがか?」 先程脚を触られてピクピクと跳ねてしまったせいだろうか。坂本がそんなことを訊く。 ふるふると首を横に振る否定の仕種とは裏腹に、坂本の無骨な手のひらが素足を辿る感触にシーツの上でのたうってしまう。 「まっこと、キレイな脚じゃのう」 藍染の袴を捲り上げて剥き出しになった脚は、確かに恐ろしいほどに艶めかしかった。 「舐めてもエエがか?」 「だめっ……」 土方が制止の声を発するより早く、コリンと可愛らしいくるぶしに舌を這わせる。 「ヤッ、ァッ、ァ……ッ」 軽く歯を立てたりしようものなら、陸に上げられた魚のように全身をビクビクと痙攣させる。 ピンク色の爪がついた指も大層美味しそうで、誘われるように坂本はパクリと親指を口に含んだ。 「アッ!ダ、ダメッ!!」 坂本もびっくりするほどの顕著な反応が返ってきた。 たったこれだけで、ゆったりした袴の上からでも分かるほど、土方の股間は硬くいきり立っている。 「なんちゅー感度の良さじゃあ」 坂本としては純粋に感心しているのだが、土方にしてみれば馬鹿にされているというか、茶化されているような気がしていたたまれない。 「そのまんまじゃ窮屈じゃき、脱いじゃれ」 「い、いいですっ」 窮屈でいいから。てか、もうこれ以上触らなくていいから、という土方の願いも空しく、坂本はするすると袴を脱がせてしまった。一般人にはあまり馴染みがないはずの剣道着なのに、手つきに全く戸惑いが見られないことから、もしかしたら坂本も剣道経験者なのかもしれない、とこんな場合なのに土方は気になってしまう。 「せ、んせいも、剣道、やってた、んですか……?」 息があがって長い文章が喋れないくせに、それでも確認せずにはいられないあたり、やっぱり土方は立派な剣道馬鹿だった。そんなところも好ましい、と坂本は微笑む。 「おう。むかーしな。これでも結構強かったぜよ」 本当は、坂田や高杉も経験者であり、坂本より強いのだが。余計なことを言ってライバルに塩を送るつもりなど毛頭ない坂本であった。 「今度手合わせでもするがか?まだまだ若いモンには負けんぜよ」 と言うと、目に見えて土方から余分な力が抜けたのが分かった。坂本に親近感を抱いたのだろう。 (他愛ないのう。ま、そんなところが可愛いんじゃが) せっかく土方が身を委ねてくれたのである。このチャンスを無駄にするのはもったいなさすぎるだろう。 すんなりした脚ももっと舐めたいが、とりあえず土方をもっとリラックスさせてからでもいい。 坂本の爆発頭とはまるで違う、サラサラの黒髪を指で梳けば気持ち良さそうにうっとりと瞳を閉じた。普段、眼光鋭く口元も固く引き結んでいる印象が強い分、あどけないといっていいこの表情は坂本の心臓を直撃した。 (くーっ。可愛すぎるんじゃー!) たまらず前髪をかきあげていつもは隠されてる白い額に口づける。続けてすっきり通った鼻先や、すべすべしたほっぺた、ちょっと尖り気味の顎にも唇を落としていくと、くすぐったそうに首をすくめる仕種がいつもよりずっと幼く見えて愛しさがこみ上げてくる。 すっかり緊張が解けて柔らかくなった肢体にゆっくりと手のひらを這わせる。適度に筋肉が乗っているものの、肌目の細かい皮膚はしっとりかつすべすべで、極めて手触りが良かった。 「ふ…んん……」 鼻にかかった甘い声が耳をくすぐる。 「気持ちいいがか?」 優しく問いかければ小さく頷く。案外土方は甘えたがりなのかもしれない。 「ハッ……」 マッサージするような手つきから徐々に意味ありげなものに変え、桜色の胸の尖りに触れた瞬間、土方は小さく声を上げて身を捩った。 (おー、敏感じゃのう。これならどうじゃ) 「あ、んっ」 左の乳首を舐められた土方が、壮絶に艶っぽい声を出して胸を突き出した。 背中を反らせてくれたおかげで、ますます弄りやすくなったので、遠慮なく舐めしゃぶり、もう片方は指で抓んで転がしてやる。 「やっ、ぁんっ…ぁふっ……」 もうどうしてくれようかというほど蕩けそうに甘美な啼き声を土方が奏でる。もっともっと、いつまででも聴いていたくなる声だ。 と同時に、もっと別の唄も奏でさせたくなった。 唇を徐々に下にずらしていき、形の良い臍に舌をくりくり差し込んでみれば 「ん、ふっ……」 鼻から甘〜い吐息が抜けていった。 淡い繁みを唇で挟んで軽く引っ張れば 「ゃっ……?」 不安げに瞳を揺らすのが初々しい。 そして。 「アアッ!」 とろとろと透明な蜜を零していた小さな口をちょっと舌でつついただけで。 見事な角度で背中を仰け反らせた。あらためて、本当に無駄のない綺麗な筋肉のつきかたをしてると嘆息する。 「そん、な…ァッ……」 「しゃぶられるのは初めてがか?」 くびれに沿って舌を這わせながら、訊くまでもないことを確認した。恥らう様子がたまらなく艶めかしいからだ。 内腿にぴんと力が入り、腰が小刻みに震えて、限界が近そうだ。 「土方。気持ちエエじゃろ?」 少しでも快感を逃がそうとしきりに首を振っていた土方にわざと問いかけた。 パサパサと髪をシーツに散らす土方をしばらく見下ろし 「なんじゃー。気持ち良くないがかァ?……よォし。そんじゃあ、わしのとっておきの技をお見舞いするき、覚悟するぜよ」 言うなり、ぱっくりと幹はおろかその下の双珠まで、口に含んでしまった。 「ヤァァァッ!!」 大の男に目いっぱい吸い上げられたのでは若い土方などひとたまりもない。 だが、そうあっさり達かせてやるつもりのない坂本は、左指で根本をしっかりと押さえつけ射精を阻む。 そして右手はポケットから取り出したチューブを絞って後ろの蕾に塗りたくった。 「んあっ!あぁっ!あふ、ぁっ……!」 前を強烈に吸い上げられ、後ろをゴツイ指で掻き回され、土方がひっきりなしに悲鳴とも喘ぎともつかぬ叫び声をあげる。普段の土方の、チンピラ予備軍のようなドスのきいた声からは想像もつかない色っぽさだ。 「もっ、も、やめっ…… ヒァァー!」 切れ切れの制止の声は、前立腺を突かれた衝撃の嬌声に打ち消された。 坂本の口の中で、土方の雄芯がビクビク震えながら爆発したいと必死に訴えている。 2本の指でコリコリとしこりを刺激しながら、土方に話しかけるために脈打つ棹をぬるん、といったん口から出した。 「イキたいじゃろ?」 コクコクと何度も頷く土方。 「今からイカせてやるきに、そんかわし『辰馬ぁ、気持ちイイ、イクぅぅ』って言いながらイッてくれんかのう?」 定まらない焦点で、しばし逡巡する。 いくら快楽に蕩けていてもさすがに言えないのか、それとも意識が朦朧として意味が理解できないのか。 「やっぱりイヤか……」 ガッカリしたような口調とは反対に、更に激しくグチャグチャと音がするほど指を動かす。 「ヤッ、ンアァッ! 言うっ…… 言う、からっ……!」 涙をぽろぽろ零しながら哀願する顔がたまらなくソソる。 「じゃあ最後の『イクぅ』に合わせて手ェ放すからの」 それはつまり、言うと約束しておきながらイッてしまえばこっちのもの、というズルはできないということで、外見に反して坂本も相当意地が悪い。 もっとも、坂本を謀ろうとか口から出任せとか、そんなことを考えている余裕は今の土方にはなかったが。 「ほい、いつでもいいぞ」 グリグリ、グチャグチャ、ねちょねちょ―― 「あっ、たっ、たつ、まァ…、ん、キモチ…イイッ……! ィ…イ・ク、ぅぅぁーーーっ!!!」 約束通り「ク」でようやく指を放してもらえた土方は、シーツの上でガクガクと激しく何度も腰を跳ね上げながら、絶頂数回分の精液を撒き散らしたのだった―― 有り得ないほど凄まじい絶頂感に、なかなか呼吸が落ち着かず身体の熱も冷めない土方の、汗に濡れた前髪をかきあげながら坂本が満足げににんまりと笑う。 「ありがとうな、土方。おかげでイイのが録れたぜよ。わしゃあコレを着ボイスにするぜよ」 不穏な発言に重たい瞼を少しだけ持ち上げて坂本を見返した土方は、衝撃に思わず目を見開いた。 白衣のポケットに刺さっていたペンだとばかり思っていたそれは、実はデジタルレコーダーで。 いつからそうだったのか、録音中のランプが赤々と輝いている―― 愕然として、一気に体温を下げる土方に、さらに坂本が言いつのった。 「そんじゃあ今度は『辰馬のおっきのちょうだい』とでもおねだりしてもらおうかのぅ」 |
| ◆END◆ ビデオじゃなくて良かったね、って時間の問題? 坂本はHの時だけでも標準語を喋ってくれ… |
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