LEVEL5



そんな感じで。
土方の性欲を意のままに操れるようになったと言っても良い状況に、銀時はいたく満足していたのであるが。
『金時くんへ』で始まる、例によって間違いだらけの手紙と小さな荷物が坂本から届き、事態は更なる進化の時を迎えようとしていた。
「ふっざけんなァァァ!誰がソーローだッ!だァれがホーケーだァァァッッッ!!!」
そう叫んだ銀時が破り捨てた手紙には
『P.S. 金時くんは確か早漏で悩んでいましたね。天人からいい薬を手に入れたので良かったら使ってください。
P.S.のP.S. 包茎はもう治りましたか?早く良くなってくださいね』
などと書かれていたのだった。
「俺はなあ、生まれてこの方、早いなんて言われたこたァねーんだよッ!!!土方にだって『たのむからもうイッてくれ』って啼かれたことはあっても、『え、もう……?』なんて言われたこたァねえぞ、コノヤローッ!!!」
ミクロの塵と化すまで粉々に千切ってもまだ、銀時の怒りはおさまらない。同封されていたピンク色の錠剤が入った小瓶を床に叩きつけ、思いっきり踏みにじってやろうとして、ふとラベルの文字が目に入った。
『もう早いなんて言わせない!一錠で10分、射精を延長!即効性で、副作用も一切なし!』
いかにも怪しげな煽り文句だし、どこまで本当かも疑問だったが。
(コレ…土方に使ったらどうよ?)
もちろん、土方が早いというわけではないが。
というか、早かろうが遅かろうが関係なく、銀時の気が済むまで何度でも達かせるだけのことなのだが。
達く直前の土方にこれを飲ませたら、10分間快楽地獄が続くということになるんじゃないか。
その間、どれだけの痴態を見せてくれるかと想像しただけで勃ってしまいそうだ。
どんなに土方が「イかせてくれ」とねだっても、射精を阻んでいるのは土方本人なのだから、銀時は請われるままにいくらでも責め立てて追い上げてやればいい。
試してみても損はないだろう。
唯一の不安材料は、本当に副作用や中毒性などの害がないかどうかだ。坂本が送ってきたものだから、なおさら安心できない。
その点だけはきっちり確認をして、問題ないようだったら絶対使ってみようと銀時は固く心に誓った。

思い立ったら即実行(こんな時だけ)
ツテを駆使して何人かの医者や科学者に成分を調べてもらったが、どうやら害がないのは確かなようだ。そして謳い文句通りの効果が期待できそうなことも分かった。
となれば、もう使うしかない。
土方を襲うであろう、めくるめく官能の嵐を想像しただけで期待に心臓がバクバクいっている。
――検査結果を聞いた銀時があまりにも顔を輝かせたものだから、よほど早漏で悩んでいたのだな、とすっかり憐憫をかってしまったなどと、本人は知る由もなかったが。

「んっ… く、ぁあっ…」
たっぷり時間をかけ、今夜3度目の精を放った土方がグッタリと四肢をシーツに投げ出す。
明日は半月ぶりに土方が非番なので(それでも以前に比べれば格段に休みをとるようになった。ある程度の頻度で徹底的に銀時に達かされまくらないと、身体の奥深くに燻った熱が消えず、仕事に支障を来たしてしまうからだ)例の薬を試すなら今夜が最適だろう。
ご宿泊はすでに、昼まで延長手続きを済ませているから、途中で邪魔が入る心配もない。
今日なら、どれだけ乱れさせても、喉が涸れるまで啼かせても、腰が立たなくなるまで犯りまくっても(そんなに)怒られないだろう。
銀時がこれだけ手間隙かけて快楽に弱い身体に仕立て上げたというのに、それでも精神までは溺れていない。夜が明け、正気に戻った後はまた、仕事一筋のストイックな真選組副長の顔になってしまうのが、歯痒くもあり、ソソられるところでもあった。それでこそ責め甲斐があるというものだ。
「まだまだイケんだろ?」
ねっとりと耳に吹き込めば、余韻冷めやらぬ身体がゾクリと震える。まだ全然足りていない証拠に、土方の雄芯は力を失いきっていない。
「…乗れよ」
土方の隣に仰向けに横たわり、軽く手首を引っ張って誘うと、紅い吸い痕が散らばる白い裸身がゆっくりと起き上がった。
だるそうに、だが悩ましげな動作で銀時の腹筋にぺたりと座り淫蕩な眼差しが見下ろしてくる。昼間の射るような眼光からは想像もできない、この熱く濡れた瞳で見つめられると、脳がハレーションを起こしそうなくらいゾクゾクする。
ドクドクと痛いほど脈うつ銀時を感じ取ったのか、微かに唇の端を吊り上げた土方が腰を浮かせた。
銀時が促さずとも、土方は自ら屹立に腰を埋めようとしている。
「んっ……」
先端が触れ、ピクンと脚を震わせた。
すぐには呑みこまず、焦らすように蕾にぬるぬると擦りつけて感触を愉しんでいる。3度放った直後なので、土方にもまだ余裕があるようだ。
「…気持ちいいか?」
「ああ……」
腿を撫でながら訊ねれば、小さく、だがはっきりと肯定が返ってきた。
「俺も気持ちイイ……」
しばらくそうやって焦らした後、たまらなくなってきたらしい土方が本格的に腰を落とし始めた。
挿入時に最も気持ちいいのは、銀時も土方にとってもカリの部分が入り口に呑み込まれる瞬間だ。
「んっ……!」
だから土方は、カリ部分までを収めては腰を浮かせまた呑み込む、という動作を何度も繰り返し、その度に鼻にかかった甘い声をあげながら背中を仰け反らせる。
(やーらしくなったよなァ)
陶酔しきった美しくも淫らな表情を見上げながら、しみじみ銀時は感心した。
ほんの数ヶ月前から比べると別人のようだ。ごくごくノーマルで淡白な性癖しか持ち合わせていなかった土方は、銀時が新しいプレイ(銀時にしてみれば、別にマニアックでも変態チックでも何でもないごく当たり前の)を仕掛ける度に戸惑いと羞恥を見せていたものだが。
などと昔を思い出したりして少し意識を逸らしていないと、土方の締め付けのあまりの気持ち良さに、銀時のほうが先に達してしまいそうだった。
やがて、入り口付近ばかりで物足りなくなった土方が、深く腰を沈め始める。
「ふ、ぅん……」
完全に銀時を呑み込み、ぺたりと座り込んだ土方が満足げな吐息をもらした。このゆるやかな官能の波をたゆたっている間が、土方は一番好きらしい。気持ちのいい時間を少しでも長く味わおうと、わざとポイントをずらして腰を蠢かせているのが、却ってイヤラシイ。
(あー… ほんっと、イイ眺めだよなァ。しみじみ幸せを感じちゃうぜ)
うっとりと酔ったような表情が、徐々に快感の色を強めていく過程が愉しくてたまらない。特に下から見上げる自ら快楽を貪る土方の眺めは絶景で、銀時は強く突き上げたいのを堪え敢えて動かず好きにさせておく。
「あっ、あっ、あっ……」
すっかり激しくなった動きに合わせ、土方が悩ましい声をあげ、したたる汗がぽたぽたと銀時の上に落ちる。
(そろそろかな……)
タイミングが大事なので、ミリ単位の表情の変化、銀時を締め付ける内部の微妙な動きに神経を集中する。
「ァッ…ィ……っ」
イク、と言いかけた口に錠剤を一粒放り込み、使いきりタイプのマヨネーズをきゅっと流し入れた。
なめらかな喉がゴクリと動き、確かにクスリが嚥下されたのを見届ける。
凝視する銀時の目の前で、ぶるりと腰を震わると吐精するために土方は大きく背中を仰け反らせた。
「んっ、んんっ……!」
絶頂を求めて淫猥に土方が下肢をくねらせる。
だが、いくら感じるポイントを擦りつけたところで達くことはできないのだ。
達きたくても達けない感覚を知らないわけじゃない。銀時に根元を締めあげられたり出口を塞がれたりして、頼むからもう達かせてくれと懇願するまで責め立てられたことが何度もあるからだ。
だが今のはそれとは違う。
銀時は何も妨害していない(たぶん)
「な、んで……?」
逐情できるだけの快楽は十分感じているというのに射精に至れない理由が分からず土方が戸惑う。
「銀時っ… ぎん、ときっ……!」
縋るような声で土方が名前を呼んだ。
苦労して教え込んだおかげで、ツライ時には銀時に助けを求めれば何とかしてもらえる、と土方は学習したのだ。
「ぎ、ん、ときっ… イキ、たいっ……」
舌がまわっておらず口調が幼くなっていた。
こんな土方など誰も知らないだろうと思うと、抑えきれない優越感に笑みがこみあげてくる。
「…いいぜ。イケよ」
達けないのを承知のうえで、思い切り下から突き上げてやる。
「アッ、ンァアッ、ンンッ……!」
「くっ…」
食い千切られそうなほどの締め付けが、いかに強い快楽を土方が感じているかを伝えてくる。
「アッ…ハ、アッ… イクッ…!イ、クぅっ……!!」
髪を振り乱し、がくがくと全身を震わせて土方は精を放出しようとしている。
だが当然、射精することはできなかった。
「あ…なん、で… イケ、ねェッ…… ぎん、っき……!」
壊れるんじゃないかってぐらい腰を振りたくっても達けなくて、真っ赤に染まった目元と果実からとめどなく涙が滴り落ちる。
(そろそろ10分か……)
むろん効力には個人差があり、きっかり10分で効き目が切れるわけではないだろうが。酒にも弱いし、この手のクスリに免疫もなさそうな土方にはかなりキツそうだ。
いつも以上に悩ましい痴態をたっぷり堪能させてもらったことだし、もう達かせてやろう、と思う心とは裏腹に、気がつけば手が勝手にもう一錠を土方の口の中に放り込んでいた。
(ごめんなァ。あんま色っぺェもんだからよォ、つい… 俺も一粒飲むからカンベンしてくれや……)
胸の内だけで謝罪して、銀時は自分も薬を飲んだ。これ以上嬌態を見せられたら、さすがに銀時も我慢できる自信がなかったのだ。ただでさえ、いつもよりキツク締め付けられメチャクチャに擦り上げられているのだから。
だがこれで、うっかり銀時だけが達ってしまう心配はなくなった。
なのでもうちょっと積極的に責めてやることにする。
「よっ」
肩の下に枕を敷いて軽く上半身を持ち上げた姿勢で腕を伸ばし、硬く尖ったまま誘うように揺れている両方の乳首を抓んだ。
「ヒ、アアアッ!」
ビクンッと激しく土方の背中が反り返る。
これだけ尖っていれば、軽く触れられただけでも痛いほど感じてしまうというのに、銀時は引き千切ろうとでもするかのように、思いっきり捻った。
「イッ……!」
痛い、なのか、イイ、なのか。
恐らく本人も区別がついていないだろう。
痙攣するようにビクビク震えているが、それでも達くことはできない。
乳首を弄りたおし心ゆくまで土方を啼かせてから、銀時はべとべとに濡れている花芯を握った。
「ふああっ…!」
反射的に土方の腰が、もっと触ってくれというように突き出された。
ご要望にお応えして、左手でリズミカルにきゅっきゅと扱き、右手の爪で先端の穴を引っ掻いてやる。
「だ、めっ……!」
いつもなら、これで達ってしまう土方が強すぎる刺激に悲鳴をあげた。
「ァ… もぉ、しぬっ……!」
(うおーっ、死ぬって言われちゃったよ!死ぬってか!もう死んじゃうー、ってか!しかもあの土方の口からだぜ、おい!)
プライドが高くって意地っ張りで滅多に弱音を吐かない土方が「死ぬ」と口走ってしまうほど、凄まじい快感に襲われているということだ。
ならばもっと善がらせて狂わせてやりたくなったが、ふと使用上の注意に書かれていた文面を思い出して躊躇する。
『精神を崩壊させる恐れがあります。使い過ぎには十分ご注意ください』
まさか、とは思うが確かに土方のこの乱れようは尋常ではない。
一瞬、快楽に溺れセックスなしでは生きられない色情狂となった土方を一生飼い殺しにするのもいい、などと考えてしまったが、やはり何よりも本来の凛とした彼こそが一番好きなのだ。
少し休ませてやったほうがいいかもしれない、と銀時は土方から手を離した。
「ぁっ……?」
戸惑うような引き止めるような響き。そして
「ゃめ、るなっ……」
続きをねだる声。
もうやめてくれ、とは数え切れないほど言われたが、やめないでくれ、なんてほとんど聞いた覚えがない。
(オィィィ。せっかく俺がなけなしの理性を総動員して手ェ離してやったってェのに、オメーにそんなコト言われたら…って、おおおおっ!?)
突然消えてしまった刺激を求めるように、土方は自らの手で乳首と肉茎を激しく弄りだしたのである。手つきにまるで躊躇いがない。
(マジかよ、オイ!やっべェ。俺もクスリ飲んでなかったら、完全にイッてたぜ、こりゃァ)
自分の腹の上で根本まで銀時を呑み込み、乳首とペニスを弄りながら腰を振りたくる土方、なんて。夢にすら見たことがなかった光景が、目の前で現実に繰り広げられているのである。
精液のかわりに鼻血が出そうだ。というか、噴出しないほうが不思議なくらいだ。
(辰馬。俺ァ初めて、てめーに感謝してもいいかもって気になってるぞ)
「ァッ、ァッ…… ィクッ… しぬっ…… イクッ! ぅあああああーっ!!!」
ようやく10分が過ぎ、夥しい量の精液を銀時の腹から胸にかけて撒き散らすと、土方は自らが放った白濁の上にがっくりと崩れ落ちた。
完全に気を失っている。
わずかに遅れて土方の中に吐精した銀時が、その汗に濡れた黒髪を優しく指で梳きながら考えていたことといったら
「4回目で気ィ失っちまったか… ちっと早かったなァ。今度からはもちっと後で飲ませるとするか」
鬼畜としか言いようがない独り言を呟き、30分以上挿れっぱなしだった土方の中から肉棒を抜き出した。

この薬は、土方の体力を著しく奪ってしまうため、そう頻繁に使用することはできなかったが、一度に3錠飲ませてみたり銀時も服用したりしたので3ヶ月でなくなってしまった。
追加、いやいっそ定期購入を坂本に申し込もうか、なんてことを真剣に検討していた銀時だったが。
人間というのはどんな状況にも慣れてしまう生き物だということを、あらためて知った。
いつのまにか土方の身体は「達けない」ことに慣れてしまっていたのである。
究極に感じやすい身体でありながら、どれほど凄まじい快感でも簡単には達けない身体。
かくして、この世のものとは思えないほどの快楽でなければ絶頂に達せないまでに、土方のえっちレベルは上がったのだった。


◆END◆

これでレベルMAXらしいです


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