土方販売機



木刀についてしまった血糊をピッピと軽く振って落とし、銀時はやれやれと肩を竦めた。
「ったくよお。やけにギャラがいいと思ったら、やあっぱ天人がらみじゃねーか。いー加減にしろっつーの」
周囲には累々と気絶した天人が転がっている。
退職した会社のロッカーに忘れ物をしてきてしまったのだが、顔を出すのは気まずいので代わりに取りに行って欲しい。というだけにしては破格の報酬だと思ったら案の定。天人の経営する、しかも後ろ暗さてんこ盛りっぽい会社だったというわけだ。
代理で忘れ物を取りに来ただけだから、という銀時を頑として一歩たりとも中に入れようとせず、入れろ入れないで揉み合った結果乱闘になりこのザマだった。
無事依頼人の忘れ物を取り戻し(これもなんだかヤバイ物っぽかったが、銀時には関係ないので気にしないことにする)仕事は完了したが、銀時のダメージも小さくなかった。
「ちくしょー。特別手当でも貰わなきゃワリにあわねーぜ。あーあ。木刀買い換えなきゃダメかな、くそー」
犬系天人にさんざん噛み付かれ、愛刀はボロボロになってしまった。自分の怪我は放っておいても治るが、木刀は買い直さなければならなそうだった。
それにしても暴れたら喉が渇いた、と思った銀時の目に、休憩室とおぼしき部屋に設置された自動販売機の光が見えた。
「お。自販機があるじゃねーか。いちご牛乳でも飲んじゃおっかなー」
ポケットの中の小銭を探りながら自動販売機に近づいた銀時は、しかしサンプルを見てガッカリする。
「なんだなんだァ。エロ本の自販機ってか、オイ。ふつー、こんなモン会社ン中に置かねーだろ」
呆れつつ、やっぱりちょっと気になるので覗いてみる。が、すぐに後悔した。
タイトルこそ『団地妻・昼下がりの情事』だの『セーラー服のイケナイ放課後』だの、それっぽいものが並んでいるが、表紙に写っているのはどれも性別不明の獣人型天人ばかり。エロ本というより野生の王国というか妖怪大図鑑という感じだ。
「期待させやがってコノヤロー!」
腹立ちまぎれに自動販売機を叩き壊してやろうかと思ったところでふと、隅っこにこっそり表示されている商品名が目に入った。
『土方』
表紙の見本もなく、タイトルすら書かれていない。
「ひ、じかた……?」
見慣れた2文字を銀時がじっと見つめる。
まさか、あの土方のエロ本――?
と考えただけで一気に鼓動が速まった。
「いやいやいや。騙されねーぞ。きっとこれはあれだ。『どかた』って読むんだよ。で、ドカタ姿の男だか女だか分かんねェ天人がプロレスだかセックスだか分かんねェことしてるだけなんだよ。うん。きっとそうだ。そうに違いねェ」
と思うのに。
もし。もしも万が一、あの土方の。真選組副長土方十四郎のエッチな写真集とかだったら。
それは見たい、というか絶対欲しいだろう。
「いや!ないないない!絶対ないから!ありえないから!」
こんな所で土方のエロ写真集なんかが売られている道理がない。ていうか、そもそもそんな商品、あるはずがない。
「けどアイツ、天人どもにミョ〜に人気ありやがるからなあ……」
土方自身は与かり知らぬだろうが、江戸にいる天人たちの間で土方はとても人気があるのを銀時は知っている。――もちろん、真っ当な人気ではなく邪な人気だ。
天人しかいないこんな会社、真選組が立ち入ることはないだろうし、密かに土方のエロ写真集が作られて売られてる、なんてこともないとは言い切れないかもしれない。
いや、エロはないかもしれないが、普通の写真集だったとしてもやっぱり欲しい。
「300円か……」
だいぶ買いたい方向に気持ちが傾いてきている。
「いや。300円はねーだろ。300円ごときで土方が買えるわきゃねーって。安すぎるから」
とはいうものの、他の商品を見るとどれも100円か200円となっていて、300円の値がついているのは土方だけだ。
つまりこの中では土方が一番高価ということになる。
「100円で買えるエロ本てどんなんだよ、オイ」
なんとか買わずに済ませる理由を見つけたい銀時がケチをつける。確かに、古本でもない限り今どき100円では週刊誌も買えない。
「…いや待てよ。てこたァあれか。生写真かなんかか?」
買わずに済ませたいくせに、買ってもいい口実を思いついてしまった。
「でなきゃあれか。何が出てくるかわかんねーガチャ本方式か」
コンプリートすると1冊できあがり、というヤツかもしれない。完全本を目指すもよし、目当ての写真だけゲットできればそこで止めるもよし。当たりもあればハズレもある、というアレだ。
ギャンブル好きの血が騒ぐ。どんなモンか試しに1枚ぐらい、と買ってみたくなる。
出たモノによってはコンプリートを目指すのもアリかもしれない。もしダブリが出てもモノが土方なら高値で売りつける心当たりがいくらでもあるし。――って、売らないけど。
「1回だけ。1回だけ、ダマされたと思って運試しってことでやってみっか。なーに、パチンコで擦ったと思ゃぁ……」
1回だけ、と言いながら目の端でしっかり両替機の存在を確かめ、周囲に誰もいないのが分かっているのに何故かコソコソと、辺りをはばかるようにして100円玉を1枚ずつゆっくりと投入する。急いで入れると詰まったりすることがよくあるからだ。
チャリン、チャリンと、無人の休憩室に小銭が機械に飲み込まれていく音が響く。1枚入れるごとに赤いランプが増えていき、3枚目を入れた時ついに『土方』の文字にも光点が灯った。
「ポチっとな……」
ボタンを押し、胸を高鳴らせて商品取出し口をじっと見守る。
しかし。
1分経っても3分待っても何も出てこない。
「チクショー!やっぱダマされたー!」
しかも、取り消しボタンを連打しても返却レバーを何度ガチャガチャさせても、お金が戻ってこない。
これはやはり、スケベ心につけこんで小金を巻き上げようという詐欺マシーンに違いない。普通のジュースなどの自動販売機ならば金を入れて商品が出てこなければ苦情を言うが、こういう後ろ暗い品物の場合、大抵は泣き寝入りだろう。そこを見越して時々、こういうタチの悪い業者がいるのだ。
しかし銀時は、300円もの大金を大人しく諦める気など毛頭なかった。
期待したのに。どんな土方が出てくるか目茶目茶期待したのに、無残に裏切られた上金まで巻き上げられてたまるかというのだ。
「コノヤロー!俺の金返せー!(あーんど俺のオカズ土方返せー!)」
心の叫びとともにブーツの踵がボキボキっと自動販売機にめり込み、ぐしゃっと拉げた。裂け目に木刀の先っぽをねじ込み、べりべりと外装を剥がしていく。
投入した300円はもちろん、傷心の慰謝料として入ってる小銭全部を頂戴するつもりだ。
ついでに、もし土方のお色気写真があれば当然そちらも貰う気まんまんである。
――しかし。
「あ、あれ……?」
大きな期待はしていなかったが、やはり土方の影も形もない。というか、それ以外の商品もカケラも見当たらない。
そして本来売り上げが収められているべきところも空っぽだ。少なくとも銀時の300円だけは絶対にあるはずなのに。
「ないわけねーだろ、オイィィィ」
別のところにあるのかもしれないと、小さな部品になるまで販売機をバラしたが、とうとう銀時の300円を見つけることはできなかった。
無駄な労働をしてしまった自覚に徒労感がどっと押し寄せ、重傷というほどではなかったが怪我もしていたため、思わずその場に座り込みたくなった銀時であった。

それ以上天人の会社に居ても意味がないと、帰路についた銀時であったが。
どうにもムシャクシャした気分がおさまらない。
元はといえば己のスケベ心が招いた結果なのだが、責任転嫁は銀時の得意技の一つだ。ブツブツと口内で依頼人や天人を罵倒しながら負傷した足を引きずるようにして歩いていると、行く手にもう一つの元凶である黒い後ろ姿を見つけた。
途端に銀時の機嫌が急上昇する。
私服ということは仕事中じゃないのだろう。なら少しくらいは銀時の相手をしてくれるかもしれない。
こんな気分の時は土方を構って憂さを晴らすに限る、と銀時は歩調を速めた。
「土方っ」
声をかけると同時にがしっと肩を掴んだ。
反射的に刀に手がのびかけて、銀時だと気づき力を抜く。
背後から肩を掴まれるまで気づかないとは、武士としてどうなんだという感じであるが、それだけ銀時に気を許している証拠のようで嬉しくなる。
振り向いて憎まれ口をたたこうとした土方が、銀時の有り様を見て顔を顰めた。
「今日はまた一段とズタボロだな」
「んー。なァんかちょっとメンドーな仕事だったからなあ」
声に疲労を滲ませて答えれば、土方がわずかに目を見開いた。銀時がこんな風に仕事について語ることなど滅多にないからだ。
「旨い話にはウラがあるってな。簡単な仕事だってガキ共を行かせなくて良かったぜ」
「……けど、そのザマで帰ったんじゃ、ガキが心配するんじゃねェか?」
そんなに言われるほどヒドイ有り様だろうか、とあらためて自分を見下ろす。
確かに。
自覚していた以上に見た目は無残かもしれない。ならばここは、ちょっと重傷のフリでもしてみよう。
「じゃあ、さ。土方が手当てしてくれる?」
ダメで元々。軽い調子で提案してみた。すると意外にも
「チッ。しょーがねえな」
舌打ちつきではあったが、なんとあっさり受け入れられてしまった。
「「えっ……?」」
だが、言われた銀時のみならず、答えた土方までがびっくりしたようにポカンとしている。しかし、一度言質をとってしまえばこちらのもの。引き下がる気など毛頭ない。撤回させる間を与えず強引に押すのみだ。
「いやー、わりィな。けど、正直助かったぜ。実は俺も、このナリでウチに帰んのはヤバイかなーと思ってたんだよな……」
一見下手に出てる風を装いながら有無を言わせない。
「って言っても、こっからお前ンとこまで結構あるしな…… あそこでいい?」
そしていかにも、他に選択肢がないからやむを得ずだよ、という顔をして前方で瞬いているケバケバしい看板を指差したのだった。

冗談じゃないとか、何で俺がとか、もっと他にも場所があるだろうとか、口では色々言ってたわりに土方の足は素直に銀時に続いてラブホテルの入り口をくぐった。
一応怪我の具合を診てもらうという建前だったので、途中買い込んだ傷薬や包帯などで一通り手当てをしてもらってからが本題。
「俺あんま動けねェからさ。今日はお前がやってくれる?」
もちろん、土方が攻めという意味ではない。
ふざけんな、もう手当ては済んだだろうが、と口ではがなり立てているが、土方の指はすでに半勃ち状態の銀時の肉棒を握りしめていた。
どうにも言葉と行動、というか気持ちと行為にズレが生じているみたいだ。土方本人も戸惑いを隠せずにいる。
いや、口ではなんだかんだ言いながら躯は快感に溺れている、というのはいつものこととも言えるが、それとはちょっと違う。やけに積極的といおうか従順といおうか。
「俺、土方くんに咥えてほしーなー」
希望を口にすれば、刺すような視線で睨みつけながらも、紅い唇を開いて銀時をパクリと咥えた。頬をすぼめて吸い上げ、熱心に舌を這わせる。
銀時の技巧を再現するような土方の口淫だった。恐らく無意識に真似てしまうほど、普段銀時がしているフェラチオは土方を気持ち良くさせているということだろう。
滅多にしてくれないだけに、土方に奉仕されるのは身体だけでなく精神も昂ぶらせる。いつになく素直な今日なら、かねてから一度やってみたいと思っていたアレコレができるかもしれない。
調子に乗るのもいい加減にしろ、と怒鳴られるのを覚悟して、銀時は次なる希望を告げた。
「俺もシテやっから、ケツこっちに向けて顔跨げよ」
いわゆるシックスナインの姿勢になれと言うと、銀時を咥えたまま、弾かれたように土方が顔を上げた。
(おいおい。生娘じゃあるめーし、そんな驚くよーなコトかよ)
慌てる土方をニヤニヤと眺めていたのも束の間、今度は銀時が驚く番だった。
(ウッソ、マジ!? マジかよォォォ!?)
呆れてものも言えない、という顔をしているくせに、一度肉棒を吐き出すと躯を移動させて本当に顔の上に跨ったのだ。白くなめらかな尻が羞恥ゆえか、小刻みに震えていることからも土方がいかに不本意なのか窺える。
(俺ァ別に(今は)強要はしてねェぞ? イヤならしなくってもいいのに……)
まあ、嫌がるのをあの手この手で従わせるのも醍醐味なのだが。とりあえず今は、そこまでしていない。
なのに、どうしてこんなにも言いなりなのかと考えて、何故か突然、先ほど天人の会社で見た自動販売機を思い出した。
(いやいやいや。まさかな。そんな、あんな自販機ごときで従順な土方が買えるわけねーから。きっとあれだ。コイツなりに何か考えてんだよ、うん。怪我してる時ぐれー優しくしてやろうとか、そんなんだ)
だが、否定すればするほど、それが真相のような気がしてならない。今まで何度も、もっとひどい怪我をしてる時だって土方とセックスしたけれど、そして確かに普段よりは優しくされたけれども、こんな何でも望みを叶えたりはしてくれなかった。
「うお、絶景。この角度で見ると一際エロいな、オイ」
これまで数え切れないほど拝ませてもらった土方の秘唇ではあるが、下から見上げたのは初めてだ。いつもと角度が違うというだけで、淫猥さを増した眺めに眩暈がしてくる。
「…舐めてやるから、もっと脚広げてケツ落とせ」
「くっ、そ……」
悪態をつく土方の葛藤を表すようにふるふると震える窄まりが、ゆっくりと目の前に降りてくる。
(やっぱ間違いねえ、ような気がする……)
どんな仕掛けかは知らないが、自販機に吸い込まれ消えてしまった300円の効果としか思えなかった。
(だとしたらすっげえお買い得だったじゃねえか。絶対服従の土方なんて、ほんとだったらどんなに札束積んだって買えねえだろ)
どんな痴態も思いのままだと想像しただけでイッてしまいそうだ。このあと何をさせようか考えたいのだが、目の前で淫らにヒクつく恥蕾につい思考が奪われる。
「アッ……!」
舌先でちょんとつついただけで、甲高い声をあげて土方が仰け反った。反射的に跳ね上がろうとする腰を、銀時はがっしりと掴まえて逃がさない。
互いに咥え合うための体位なのだが、銀時に音を立てて舐められ舌を捩じ込まれては身悶える土方に、もはやそんな余裕はなかった。銀時の上に倒れこまないよう、腕をつっぱって躯を支えるだけで精一杯だ。
「んだよ。もう俺のはしゃぶってくんねェの?」
無理を承知で催促すれば、たどたどしく舌を這わせようとするのがいじらしくて堪らない。せっかく届きかけた震える舌先が、内部で蠢く指に奥を掻き回されて、嬌声を発しながら再び銀時から離れてしまう。
咥えろと言ってはみたものの、土方の後孔を弄って啼き声をあげさせるだけで、銀時の雄を充血させるには十分効果がある。
むしろ、余計な作業に神経を使わせるより、快感を追うことに集中させたほうが互いに愉しいと判断した銀時は、別の動作を促すことにした。
「もっと自分でケツ振って、キモチイイとこに当たるように動いていいんだぜ?」
わざと前立腺に触れず、周囲を掠めるだけの銀時に焦れていた土方にはかなり効いたようだ。
「んんっ……」
悩ましく腰をくねらせ、土方がなんとかより強い快感を得ようとする。
(むおおおーっ。エロい!エロすぎるぜ、土方ァァァ!!!)
「んっ、んぁっ……」
真下で銀時が鼻血を吹きそうになってるとも知らず、土方はただひたすらもどかしげに腰を揺らしている。
(お、俺のほうが、もダメかもっ……!)
せっかく何でも言うことを聞いてくれそうな土方なので、めいっぱい焦らしてよがらせて啼かせてやろうと思ったのに。しかし、こんな痴態を見せつけられては、発射まで秒読み開始という感じになってしまっても当然だろう。
とはいえ、見てるだけで暴発なんて醜態は絶対晒したくない。
(しかたねェ。土方にイロイロさせんのァこの後だっ)
とりあえず一度一緒に達って、それからたっぷり土方には啼いてもらおう。
「あ、ああっ! ぎ、んっ…そこっ……!」
いきなり激しく指を動かし始めた銀時に、ようやく求めていた強い刺激を与えられ、嬉しげに土方の背中が反り返った。
先ほどからまだ一度も触れていない土方の花芯からは、すでにとめどなく蜜が溢れ出し、銀時の鎖骨の上にぽたぽたと滴り落ちている。
(ホントはこの体位でイクのを見たかったんだけどよォ……)
自分が保ちそうにないのだから仕方がない。お愉しみはおあずけだ。
「ぁ、まっ……」
待って、と引き止めようとする土方から指を抜き去るには結構な精神力が必要だ。俺だってお前がイクまで指と舌でぐちゃぐちゃにしてやりてェんだよっ、と心の中で叫びつつ気合いを振り絞って土方の中から全ての指を引き抜いた。
名残惜しげにヒクヒクと開閉する目の前の淫蕾に、いっそ頭から飛び込んでしまい衝動に駆られる。
「あ、あ…… ぎん、と、きっ……」
せがむ声で名前を呼ばれて、今すぐにでも位置を入れ替わって荒々しく土方に突っ込みたいところを、ありったけの気力を動員して踏みとどまる。
「土方… もう挿れてもいいぜ?」
「ぇ……?」
いつもなら「挿れるぜ」と言うはずの銀時に「挿れてもいい」と言われ、戸惑ったように土方が振り向いた。
「だからさ。俺ぁ今日は怪我してっから、お前がシテくれんだろ?」
もちろんこれも、土方が攻という意味ではない。勘違いされることはないだろうが、急かす意味もこめて、柔らかく解れた入り口をやんわりと撫でる。
「も、じゅーぶん解れてるみてェだし。自分で挿れられんだろ」
やっと理解できたらしい土方の肢体がさっと朱く染まった。
たとえ自販機の効力がなかったとしても、ここまで追いつめられていれば土方に抗う術はないはずだ。
躯の向きを変える際、銀時の頭を蹴らないように脚を動かすのもやっと、という感じのひどくゆっくりとした動作で土方が銀時の腹の上に跨りなおした。
「くっ……」
左手を銀時の屹立に添え、右手を銀時の腹筋に乗せて、土方は一度浮かせた腰を少しずつ沈めていく。
自ら進んで受け入れることへの羞恥と、早く奥まで満たされたい欲求が土方の中で鬩ぎあっているのが動作と表情から伝わってくる。
「ふ、あっ……!」
だが、カリまで飲み込んでしまってからは、欲望のほうが勝ったらしい。
一気に腰を沈め、熱い襞で根元まですっぽり銀時を包みこむと、感極まったように大きく弓なりに背を反らせる。
イク瞬間の土方の顔も大好きだが、この銀時に満たされた時のえもいわれぬ満足げな表情もとてもお気に入りだ。感じてる土方が可愛いものだから、ついつい無理強いして啼かせてしまってばかりいるが、一方的に快楽を強制してるわけではなく、土方もちゃんと銀時でいっぱいに埋められて幸せを感じているんだと思うと嬉しくてたまらない。
そして、うっとりと満ち足りた表情を見せたのも束の間、すぐにもっと強い快楽を貪るために自ら抜き差しを始めた。
「んっ、んっ、はんっ……」
徐々に激しくなる動きにつれて、漏れる声も高く甘くなっていく。
「ああっ、んああっ」
一度前立腺に当たってから後は、もう夢中という感じでひたすらソコに当たるように腰を打ち付けてくる。
そして土方の快感が強まれば強まるほど、中の締め付けも妖しくキツクなってきて、銀時も高められていく。
「ぁ、く… も…… で、る……っ」
「俺、もっ……」
土方が高く掠れた声を、銀時が低く呻くような声をあげて、2人はほぼ同時に精を放った。
ゆっくりと崩れ落ちてきた土方の背中をしっかりと抱きとめながら、そういえば今日はまだ抱きしめてもいなければキスもしていなかったことに気づいた。
なめらかな背中の肌触りを愉しみながら唇を重ねたら、待ちかねたように舌を差し出してくるのが愛おしい。早鐘をうっていた鼓動がおさまるまで、深く舌を絡め合い唇を吸い合う。
「まだ…足りねェだろ……? 俺もだ。…お前んナカで、俺をキモチヨクさせてくれよ……」
2人分の熱い吐息がこもったままの声で耳許で囁けば、官能にゾクリと背筋が震えたのが這わせた手のひらから伝わってきた。そして土方の内襞もザワリと蠢いて銀時の欲棒に絡みついてくる。
「ん、いいぜ…… もっと締めて擦ってくれよ……」
手や口でしてもらうのもいいが、熱い粘膜で奉仕してもらうのもまた格別だ。
「てめ… ラクばっか、してんじゃ、ねェ、よ……」
口では悪態をつきながら、下肢は銀時を昂ぶらせようと艶めかしく動いている。
銀時の愛撫のままに身悶えて喘ぐ土方もいいが、時にはこんな土方もいい。ものすごく。
いつでも昇天できそうなほど絶妙な締めつけを堪能しながら、今日は本当にいい買い物をした――と、いたくご満悦な銀時であった。


◆END◆

自販機の効力は1日限りですよ、銀さん


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