午前零時の訪問者 蛇足



我らがアイドル土方十四郎が、ヤクザともつながりがあると囁かれる高杉晋助に喰われてしまったと噂がたって一週間が経ったその日。
再び学園は激震に見舞われた。
土方が高杉と並んで登校してくるのはすでに見慣れつつあったが、今日はなんだか様子がおかしい。
いつものきびきびした歩調とはまるで違う覚束ない足取りは、高杉に支えられていなければ今にも崩れおちてしまいそうだ。白く整った容貌はいつにも増して青白く、眼の下には隈ができている。
その腰を庇うような歩き方と、何より具合が悪そうなのにもかかわらず昨日までより数段レベルアップした色香に、昨夜こそ本当に土方が処女を喪失してしまったことを知った。
モノにしたという余裕からなのか。高杉の拘束は前日までより若干弱まり、土方は他のクラスメイトとも会話ができるようになった。が、高杉がちょっと顎をしゃくっただけで話の途中でも高杉の元へ戻ってしまう。
その怯えた小動物のような素振りに「よほど酷い調教の仕方をされたのだろう」と噂しあい涙する男たち。

そして放課後。
一週間ぶりに部活の許可を得た土方は、だるい身体をひきずりながら、それでも嬉しそうに剣道場へ向かった。
久しぶりに竹刀を振っていくぶん晴れやかな表情をした土方が教室に戻ってくると、高杉が一人手持ち無沙汰で待っていた。
いつもならまだ何人か残っている生徒がいるような時間だったが、高杉と同じ教室にいられるような強心臓の持ち主はいない。土方を待っているのだと分かっているからなおさら。
「…お待たせ、高杉」
「ああ、待った」
待った、と言うわりに高杉は上機嫌だ。ニヤリ、と口元を歪めると土方を呼ぶ。
「土方、ここにしゃがめ」
足元を指で示され、おとなしく従った土方は次の瞬間息を飲んだ。
「わかるかァ?お前を待ってる間、夕べのことを思い出してたら、こんなんなっちまったんだぜ?」
高杉の股間は、制服の上からでもはっきりそれと分かるほどに膨らんでいた。
「このまんまじゃ帰れねェしなァ。…咥えろ」
瞬時に耳まで赤くなった土方は、咄嗟に首を横に振りかけてとどまった。ごくりと大きく喉を鳴らし、恐る恐るといった手つきを高杉のベルトへのばす。
小刻みに震えてしまう指先のせいで、たかがバックル一つが上手く外せない。
ようやく取り出せた怒張した高杉のモノを、土方は硬直したまま凝視する。
昨晩さんざんソレに蹂躙されたとはいえ、まじまじと見るのは初めてだった。
グロテスクとしか形容しようがないそれを口に入れるのは正直、非常に生理的抵抗がある。しかし。
「どうしたァ?夕べたァっぷり俺がしゃぶってやっただろうが。おんなじようにすりゃいいだけだろ」
そう。昨夜高杉にしゃぶられて、これでもかというほど啼かされて達かされた。
(同じようにしたら、もしかしてコイツもあんな風に啼く!?)
なんだか想像もできないが、もしそうなったら少しは意趣返しができる気がして、意を決すると、土方はぎゅっと眼をつぶり怖々顔を近づけた。
小さく出した震える舌があと少しで触れるという時に
「ああ、そうだ。ちょっと待て」
高杉が土方の顔を押し戻した。
「?」
不思議そうに見上げてくる土方にニッと笑い返し、高杉はポケットを探ると何かを取り出した。
「しゃぶる前にこれをつけろ」
「??」
ますます疑問符が土方の顔に浮かぶ。
50cmくらいの細い鎖がついた洗濯バサミのようなものが2つ――?
「脱がなくていいから、シャツのボタン全部外せ」
わけがわからないまま、素直にぷちぷちと釦を外す。
肌蹴た胸元に手を伸ばした高杉が、きゅーっと左の乳首を引っ張るとその洗濯バサミ状のもので留めた。
「イテェッ!」
思わず上がった悲鳴にもわずかの躊躇も見せず、右側も同じようにして挟む。
「痛ェッ。痛ェよ、高杉っ」
「すぐ慣れるからちょっとだけ我慢しろ。キツ目にしとかねェと、後で乳首が尖ってきた時に緩んで外れちまうんだよ」
「なんだよ、これっ…!」
涙目で土方が抗議する。痛みや怪我には強いはずだが、このテの刺激は別らしい。
「なんだ、知らねェのか。ボディクリップ。おめェみてェなチクビ好きのためのアイテムだ」
「好き、じゃない……」
「けどキモチイイんだろ?」
紅い顔をして俯いてしまった土方の顎をあげさせ、引き寄せる。
「おら。それつけたまんましゃぶれ」
ぐいっと目の前に突きつけられ、視線を逸らすこともできず唇を寄せた。ちょろり、と舐めてはすぐに舌を引っ込める。
しばらくはその様子を目で愉しんでいた高杉だが、すぐに焦れてきた。
「おいおい。俺ァそんなしゃぶりかたはしてねェぞ」
バージンじゃあるめェし男ならがばっと咥えろ、と急かされ思い切って、それでもカリの部分までだったが、どうにか口の中におさめた。
「んぐっ……」
咄嗟にえづきそうになるのを堪え、懸命に舌を這わせ吸い上げる。
どうにか少しサマになってきたところで、高杉は腕を伸ばすと上気した胸の前で揺れている鎖を軽く引っ張った。
「んんっ!」
くぐもった嬌声をあげて土方が身を捩る。
すでに痛み以上に快楽を感じているようだ。
桜色に染まった肌の上、そこだけ真っ赤に充血した部分に痛々しく食い込むクリップを繋ぐ金色の鎖が淫らに似合っていた。土方が身体を捩るたびに妖しく揺れ、たまらない刺激を与える。
「んっ、ふぅ……」
鼻から抜ける甘い声をあげながら、土方が一心に高杉の肉棒を咥える。無意識にだろう。先ほどより動きが大きくなり、鎖を揺らしては身体をくねらせているのが壮絶に淫らだ。
「ぅんっ!」
高杉が手を伸ばし、バネの強度をあげる。クリップの挟む力がぐっと強まり、土方は髪を振り乱して身悶えた。
瞳をとろんと潤ませ、昨夜高杉にされたことを反芻するように懸命に奉仕する。いじらしくも悩ましい痴態に、高杉は喉の奥で忍び笑った。
「もっとキツく締められてェか?そのまんま舐めたり吸ったりして欲しいだろ?」
「んんんっ!」
必死に首を振るが、そうされたいと思っているのは明らかだった。
「シテ欲しかったら俺をイかせてみな」
などとさも余裕があるようになぶっているが、実は高杉もかなり限界が近かった。何しろ、テクニックはともかく視覚の破壊力が絶大なもので。
あともう一押し、何か見せるか聞かせるかしてくれたら達けそうな気がするのだが。
さてどうしたものか、と思いながらも目は真っ赤に熟れた乳首に釘づけだ。
「咥えたまんま、そのチクビ、自分で弄ってみろよ」
びくっと高杉を見上げた拍子に、目尻に溜まっていた涙が一筋つつっと流れ落ちた。
しばしの逡巡の末、土方は痛いほどの快感を訴えているそこにそっと触れた。
「んんっ、ふぁっ、ぁんっ…!」
(うおっ、こいつァ……!)
想像をはるかに越えてエロかった。
おっかなびっくりだった手つきが、すぐに夢中で抓んだり捏ねまわしたりしている。それも左右両方を。
これを見て悩殺されない男なんているわけがない。そう確信してしまうほど、美しくも淫らだった。
「よし、イクぜ。…顔にかけてもいいか?」
縋るように高杉を見上げ、小さく首を横に振る。
無視しても良かったが、一応学校だし最初から顔射では土方がついてこられないだろうと、かろうじて思いとどまった。
「顔にかけられたくねェなら零さず飲めよ?」
でねェと制服が汚れるぜ、と言われ土方がこくりと頷いた。
「よし。じゃ、飲め」
「んぐ、ぅっ…!」
苦しそうに眉をしかめ、口いっぱいに広がった苦味を必死に飲み干そうとする。わずかに唇の端から零れた白い液体を指で掬う仕種が、わざとではないかと思うぐらいエロチックだ。
「ふん。初めてにしちゃまあまあってとこか」
本当はまあまあどころか、いきなりこれではどこまでエロくなるのか末恐ろしいという感じだったが。
どうやら高杉を満足させられたようだと、土方の頬が安堵に綻んだ。
「じゃあ帰るぞ」
「ぇ……」
手早く身支度を整えて立ち上がった高杉を、茫然と見上げる。
「高杉、これ……」
戸惑った表情でクリップを外して欲しいと訴える。が
「別に邪魔になるワケでもねェ。そのまんまで構わねェだろ」
「そん、な……」
乳首からの刺激と、初めて高杉のものを咥えた興奮から、歩くのもままならないほど土方の股間が猛ってしまっているのを承知のうえで、高杉は冷たく突き放す。
「あ?それともここで犯されたいか?俺は別に構わねェがな」
こいつなら本当にヤるだろうと、ぶんぶんと慌てて否定した土方が、急いで制服を直そうとするのを高杉が止めた。
「ああ、ちっと待て」
「…や、ぁっ!!」
「歩いてる途中で落っこちるといけねェからな」
そう言って笑いながら更にクリップを締め上げたのだ。
「ダ、ダメ…たかす、ぎっ… い、痛い…っ!」
唇を震わせる土方に構わず、さっさとシャツの釦を止めるとその上からすぅっと胸を撫でる。
「ィ、アアアッ!」
たまらずぺたりと座りこんでしまった土方を、愉しくてたまらないといった表情で高杉が見下ろした。
無体を強いている自覚はあったが、土方ならば意地でも耐えるはずだ。そのプライドの高さゆえにこそ、土方に魅入られたのだから。
「ここですっぱだかにひん剥かれてヤられたくなきゃ立てよ」
そうやって煽れば、力の入らない腰を叱咤し唇を噛み締めて立ち上がるのを見て、そうこなくちゃな、と思う。
それでこそ、なぶり甲斐があるというものだ。

ふらつく足取りで倒れないように歩くので精一杯の土方は、教室の外の廊下からじっと涙ながらに自分を見つめていた幾つもの視線に、最後まで気づくことはなかった。



やっぱ3Zで学校エッチははずせない、ってことで
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