拍手はWパロかつファンタジー風味のパラレルとなっております
元ネタは津守時生氏の【やさしい竜の殺し方】
長編のため大変な粗筋状態となってしまいました
不足部分はどうか想像力で補ってくださいませ(不親切!)
基本は銀土ですがシーンは主に高土です
色々諸々許せない! というかたは決してこの先に進まれないようお願いします









修羅 1



世界は陰と陽、二つに分かれている。
人間界である陽界と、精霊たちの暮らす陰の世界。

本来、背中合わせのように存在する二つの世界と住人は、決して交わることはなく、互いのバランスを保つことで存続してきた。
だが、足りることを知る精霊たちと異なり、強欲な人類は性懲りもなく争いを繰り返してはバランスを崩しかける。その度に過去幾度となく精霊の代表が人間界を訪れては平衡を取り戻し、かろうじて滅亡を免れてきた。

世界が滅びずにいられるのは、ひとえに精霊のおかげだと知る人間はほとんど存在しない。
だからこそ、同じ過ちを何度でも繰り返すのかもしれないが――

そしてつかの間の平和を経て、数年前、またも大規模な戦乱が巻き起こった。
世界は着実に、かつてないスピードで滅びへと向かい始め、掟に従ってまた陰界から一人、精霊が人間界へと渡ってきた。

元々は長の務めであり、まだ歳若くナンバー2である彼の使命ではなかったのだが。
「アンタにはまだ、こっちでやるべきことがあるだろう」
こんなことのために近藤を大将にしたのではない、と自ら志願して赴いたのは実質精霊界を取り仕切っている土方十四郎であった。

精霊が人間界で果たすべき真の使命を知っていたなら、近藤もあっさりと土方を送り出したりはしなかっただろう。
だが何も知らない彼は、自分よりも土方のほうが何事も上手くこなせるに違いない、と最も頼りになる副長の申し出を快く受け入れてしまったのだった。

ずっと物言いたげに土方を見つめている総悟は知っているのだろう。
それでも「行くな」と言えないのは、土方を引き止めれば近藤が人間界へ赴かねばならなくなるからだ。
どちらを選ぶこともできるはずもなく、悔しさに唇を噛み締める総悟の頭をぽんぽんと土方が叩く。

「…じゃあ行ってくる。近藤さんを頼んだぜ、総悟」
悟りきったような、何もかもを諦めたかのような笑顔だった。

土方は知っている。
その役割の意味を、誰よりも。

何故なら、前回の大戦の際に陽界へ赴いたのは他ならぬ、今の「土方」として生を受ける前の。
前世の「土方」だったから。

長命で神秘的な力を持つ精霊ではあるが、死者を蘇らせることはできない。
それでも、若くして2つの世界を救う贄として生命を落とした土方が惜しまれてならなくて。
全ての精霊が己の身体の一部とそれぞれの血を捧げ、禁断の秘術を行ってまで土方の復活を願った。

土方の魂を宿したものを、再びこの世に――

そして、長い年月をかけて蘇ったのは、姿形のみならず記憶までがそのままの、まぎれもない土方十四郎本人だった。

精霊たちの長い歴史の中でも前例のない奇蹟であったが、それが幸いなのか不幸なのかは、誰にも推し量ることはできなかった。



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