プリンセス・エージェンシー 後篇 |
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言うなり、ひょいっと土方を両腕に抱え上げ、男はすたすたと歩き出した。 連続する予定外の出来事に、これから何が起こるのかどう対応していいのか分からない。聞いてないことを理由に拒絶してもいいのだろうか。 逡巡している間に男は、聖堂の奥にある控え室のような部屋に入り、そこでようやく土方を下ろした。もっとも、逃がすまいとでもいうかのようにガッチリと腕は回したままだったが。 2人きりになったせいか、先ほどまでとはカラリと雰囲気が変わっている。さも、楽しくてたまらないといった表情で唇の端を吊り上げた。 「いやあ、まさかこんなとこでドレス姿の土方にお目にかかれるとはね〜」 「っ!?」 この声。表情。そして「土方」という呼びかけ。 まさか。 「てめっ… 万事屋…っ!?」 喋ると王女でないのがバレてしまうから、決して声を出してはいけないと言われていたのだが、確かめずにはいられなかった。 「なんだよー。俺は一目でお前だって分かったのに、えれェ冷てェじゃねーの」 仕方ないだろう。地球から遠く離れたこんな星に、まさか本物の銀時がいるなんて思うわけがない。 「なんで、てめーがここに……」 もはや、何をどう考えて信じたらいいのか混乱するばかりだ。 「おめーと同じ。代理だよ代理」 ではもしかして、土方が偽者だということはバレバレだったのだろうか。 「その様子じゃ、何も聞かされてねェみてーだな。安心しろ。さっきの連中も国民も、みーんなお前が本物のオヒメサマだと信じてっからよ」 「でも、じゃあ、なんで……」 どうして銀時には土方が代理だと分かったのだ。そりゃあ、土方が王女のはずはないが、そもそも土方がここにいることを知らなければ、先ほどの土方同様、そっくりの別人だと考えるのが普通だろう。 「そーじゃねーかなと思っただけで、知ってたわけじゃねーって」 にしては、やけに確信に満ちた口ぶりだったが。 「あー… どっから説明したモンかなァ……」 納得いく説明が聞けるまで許さないぞ、とばかりに食いつきそうな形相で迫る土方に、しばし銀時が目を泳がせる。 「ここってさァ、隣の国とすっげェ仲悪ィの知ってっか?」 土方は首を横に振る。 「その国ってのがよォ、国民のほとんどが天パっつー、俺もこーゆー国に生まれたかったぜ、って国なんだけどな。そこの第3だか第4だかって王子が、今度隣国の王女の即位式に出席しなきゃなんねーんだけど、どーしても出たくねェ。あんな国、絶対ェ一歩も足を踏み入れたくねェ、っつってダダこねて大揉めだったんだと。んで、ちょーどそこに通りがかった俺のダチの宇宙商人に代わりを頼んだらしーんだが、そいつは天パは天パでも黒髪でよォ。けど、その王子ってのァなんでも銀に近い金髪なんだと」 それで銀時にお鉢が回ってきた、ということらしい。言われてみれば確かに、いつもの銀時よりやや髪が黄色がかっているようだ。染めたのだろうか。 「いや、俺もよ。最初は遠いしめんどくせーし、いくら金もらってもヤダね、とか思ってたんだけどな。その王女っつーのの写真見たら、なんとお前にクリソツでよォ。あ、いやいやいや、お前のほうが断然、何百倍も美人だけどな。も、比べよーもねェけどな。(嬉しくねェよ!by土方) これならちょっと、見物に行くのもいいかなー、とか思ってさ」 ちょーどお前、急な出張とかでしばらく帰ってこねェってゆーしよ、と。突然、一言の連絡もなしに姿を消してしまった土方の行方を、真選組の誰かに聞いたのだろう。 「……悪かったな。なんも言ってかねェで」 会う約束などもしていたのに、全部無断で反古にしてしまったことを、今更だったが謝った。 「んー。ま、しゃーねーよな。ホントにすげー急だったんだろ」 引継ぎも指示も何もなしにいなくなられて、一時真選組はマヒ状態だったと聞かされていたので、伝言のひとつもなかったことを責めるつもりは銀時にはない。 「けどまさか、こんなトコでオヒメサマやってるとはさすがに思わなかったわ。やっぱお前も、あんな国の王子なんて顔を見るのもイヤよー、って身代わりにされたわけ?」 「いや……」 代理は代理でも、どちらかといえば影武者的な意味合いが強い。暗殺者の危険から王女の身を護るためだ、と正直に伝えたら、何故か銀時はクスリと笑った。 「お前、そりゃ騙されたんだよ」 「?」 「だって、俺が聞いたとこじゃ、ンな反対派なんていねーぜ? もう、満場一致でお前が次期女王様に決定。誰もモンクなし!」 俺じゃねェ! と否定つつ、妙に納得してしまう土方である。確かに、この星に到着して以来一度たりとも、危険を感じたことがない。国中すべてが、王女の即位を祝福しているようにしか見えなかった。 「けど、それじゃ、なんで……」 生命を狙われていたのでなければ、こんな手間をかけてまで土方を身代わりにした意味がないだろう。 「だァから、言ったろ。敵国の王子なんぞに指一本でも触られたくなかったんだって」 そこでようやく、宣誓の儀と称して銀時に接吻けられたことを思い出す。 「もう、ほんっとーに大昔から仲悪かったらしくてよ。戦争とか、数え切れないぐらいしてんだと。んで、何代だか前の王サマん時、これ以上無駄な血を流さないためにって、友好条約を結んだんだってさ」 土方個人は非常に好戦的で喧嘩も大好きだが、無関係の一般市民を大量に巻き込む戦争は、やはり赦されることではないので、その決断は正しいと思った。 「で、その条件ってのがな。今後どちらかの国に新王が即位する時は、友好の証としてもう一方の王族が立ち会い、婚姻関係を結ぶ、ってェことなんだとよ」 「………………ぇ?」 せっかく状況が理解できかけてきたのに、再び話が見えなくなってしまい、土方は聞き返した。 「つっても、元々が不倶戴天の敵同士だからな。ホントに夫婦になるわけじゃなくて、即位したその夜一晩だけ、契りを交わして自分の代における不可侵を約束するんだってさ」 「……………………は?」 いつのまにか、銀時は再びあのニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべて土方を見つめている。 「だから言ったろ? 騙されたんだって。お前はこれから、オヒメサマの代わりに俺に抱かれるんだぜ」 スル――と、大きく背中のあいたドレスに手のひらを忍ばせ素肌をまさぐる。 「へー。前からスベスベだったけど、ますますキレイになってんな。もしかしてすげー磨かれたとか?」 確かに、プリンセス修行の一環と称して、エステもされまくったが。 「すっげご無沙汰だったもんなァ。お前もたっぷり溜まってんだろ?」 「んっ……」 耳許で低い声で囁かれただけで、ゾクリと背筋が震えた。 「まさか、はるばる宇宙の彼方でウェディングドレスの土方を犯れるとは思わなかったぜ」 からかうような口調に、ふと疑問がよぎる。 「てめー… もし俺が身代わりじゃなかったらどうしたんだ……」 まさか王女と――? 露骨に不審の眼差しで見つめても、銀時はまるで動じない。 「言ったろ、見物に来ただけだって。俺ァお前以外キョーミねェよ。…ま、宣誓のチューはしねェわけにはいかなかったかもしんねェけど、それにしたってベロチューはしねェよ。せいぜいほっぺたかおでこにチュ、てーどだな」 「別に、ンなコトを気にしてんじゃねェよ……」 安心して全身から力が抜けたくせに、そんな風に強がる土方が可愛くて、つい突きたくなる。 「んじゃ、なに?」 「だから… 温室育ちのお姫様が、てめーなんぞの毒牙にかかっちまったら気の毒だって…!」 「ふーん。…んで、忠義モンのお前が姫サンの代わりにイケニエになるってか」 「ちょっ……!」 長いドレスの裾をガバッと捲り上げられ土方が慌てる。 「おー、ガーターベルト色っぺー」 口笛を吹いて悦ばれてしまえば無性に恥ずかしさがこみ上げてくる。 「お、ピストルだ。女スパイみたいでカッコイーじゃねェの。てか、お前の場合は婦警さんか。なぁなぁ、スカートばっとめくってスタッとピストル構えてみてくんねェ?」 非常事態に備え太腿のベルトに装着していた護身用の拳銃を見つけ、銀時がさらにはしゃぐ。 「刀とかバズーカ振り回すオメーは見慣れてっけど、ピストルって見たことねェからよ」 確かに、拳銃を持ったのは初めてではないが、滅多にないことではある。今回の任務で唯一楽しかったのは射撃訓練だったのだが、それも今となっては舌打ちしたい気分だ。 「…くだらねェことばっか言ってんじゃねェよッ」 どうせ銀時を喜ばせる結果になるなら、さっきからずっと中途半端に内腿を撫でまわされて煽られてる熱のほうをどうにかして欲しいと訴えれば、案の定、それは愉しそうに 「あんだよ。もうガマンできねェってか」 ウキウキと弾むような手つきが、さらに際どい部分へと進出する。 「あっれー? ナニ、下着まで女モンなんだー?」 慣れないレースの手触りに、銀時が歓声をあげた。もっとよく見せろ、と土方の躯を反転させ、剥き出しにさせた下半身をまじまじと観察する。 「へえ、白くてちっちゃくてカタチのイイケツだから、スケスケレースのパンティがすっげ似合うじゃん」 「るっせ… 見てんじゃねェよ…!」 銀時の口から「パンティ」とか言われると無性にイヤらしく聞こえて、不本意にも頬が紅らんでしまう。 「見てないで触れって?」 ツツッと指先で布地の縁を辿られ、尻がゾワリと震えた。 今に始まったことではないが、銀時の焦らすような手つきにジリジリする。 「チンタラやってねェで、とっととベッド行けっつってんだ」 「あァ? ナニ言っちゃってんの、お前」 最初からその予定で用意された部屋だから、土方の視界の隅にはゴージャスなベッドが映っている。銀時にこんな呆れたような声を出される理由などないはずだ。 「ホンット、お前って男のロマンを理解してねェよなァ。…いいか。ウェディングドレスを着た花嫁は、立ったまま犯すのが醍醐味だ!」 「てめーがナニ言ってんだッ!」 一瞬、肌をまさぐる手を忘れるほど心底呆れ返った土方が罵倒する。バカだスケベだとは思っていたが、本当に救いようのない男だ。 「だからな……」 「ンッ…!」 しかし、今さら土方に呆れられ罵られたぐらいで動じる銀時ではない。 「ドレスめくってケツだけ出して後ろから突きまくるのが、背徳感たっぷりでイイんだって」 自らの発言を実践するように、レースの下着を脱がせてあらわになった尻たぶを左右に開き、隠された蕾を暴く。 「んー、いつ見てもヤーラシイなあ。…な? 前から見るとバージンですみたいに澄ました清楚な花嫁がよ、後ろに回れば早く挿れてーってヒクヒク涎垂らしてんだぜ。このエロい眺めがロマンでなくて何なんだっつの」 どうやら土方と銀時では使用している辞書が全然違うらしい。ロマンの解釈に共通する部分がこれっぽっちもない。 「だからよ、おら、脚上げろって」 何が「だから」なんだ。辞書というより、もはや違う言語を喋っているとしか思えなかった。 白い眼で背後を振り返る土方に構わず、銀時は太腿までの白いストッキングに包まれた脚を持ち上げると、後ろから差し入れた手で花芯をきゅっと握った。 餓えていた躯は、久しぶりの愛撫にたちまち熱をおびて燃え上がる。先端からじわりと滲み出た愛液を塗り広げながら、朱く染まった土方の耳たぶに銀時が唇を寄せる。 「おいおい、花嫁サンがこんなインランでいいのかよ」 純潔の御姫様なんじゃねェの、と茶化されても一度火をつけられた欲望は鎮められない。ねだるように腰を振り、銀時の手のひらに勃ち上がりかけた雄芯を擦りつけた。 ここまで積極的にされて冷静でいられるほど、銀時とて涸れてない。むしろ煽られて、獣のようにむしゃぶりつきそうになるのを留めるのが精一杯だ。せっかく土方がこんなにソノ気なのである。もうちょっと焦らしたいではないか。 クチュクチュと音を立てて屹立を扱き、綻びかけた後蕾にツプリと中指を埋め込む。 「ンぁっ…」 久しぶりゆえの抵抗感と待ち望んだ異物感が混ざり合って大きな悦楽となり、土方に甘い声をあげさせた。 純白のドレスより白い背中が、うっすらと桜色に染まる光景に、とてつもなくソソられる。 「キモチイイか?」 中を掻き回し前立腺を擦りながらの問いかけに、必死にかぶりを振る。 「だよなあ。好きモンのお前が指一本で足りるわけねェもんなァ。…なら、もっと指増やして欲しいとか?」 この問いにも、再び首が横に振られた。 「そっか。やっぱ指じゃ物足んねェか。ったくワガママなお姫様だぜ。けどしょーがねェ。王子たるもの、姫サンのご要望にはお応えしなくっちゃな。んじゃ、ちっと早すぎる気はすっけどケチケチしねェでチンコ挿れてやるとするか」 「ま、まてっ……!」 まだ全然慣らされてないのに。そりゃ、銀時の熱いモノが欲しくて欲しくて、奥が疼いて仕方ないけれど、でも。 制止の声に耳を貸すはずもなく、銀時は猛りきったペニスを抜いた指の代わりに淫らに収縮する秘孔へあてがった。 「う、うあ、あああ………っ!」 「くっ、キツ… この拒まれてる感じが、バージンの花嫁犯してるみてェで、すっげェイイぜ?」 力ずくで貫かれる感覚に、まぎれもない歓喜で土方の背中が反り返った。奥へ奥へと、際限なく侵蝕されるようなこの瞬間がたまらない。 挿ってくる肉棒に押し出されるように、理性がどんどん薄れていく。途中で銀時が侵入を止めたり戻ったりする素振りを見せようものなら、もっと深くを突いて欲しさに無意識のうちに下肢が揺れてしまう。 「オイオイオイ、すっげェ腰の回し方がヤーラシーんですけど。もしかして花嫁修業に閨特訓でもしたんですか?」 「ンなモン… する、かッ…!」 揶揄される屈辱に、なんとか止めようとするのだが、どうしても腰が揺れてしまうのを抑えられなかった。 土方の意思とは裏腹なその淫らな躯に、銀時の意識も焼き切れる寸前だ。もうこれ以上、あまり保ちそうにない。 より深く突けるように大きく片足を持ち上げ、激しい抽送で思うさま揺さぶり喘がせ啼かせる。 「も、ムリ……ッ!」 されるがままに揺さぶられていた土方が限界を訴え、ほぼ同時に銀時も熱い迸りを吐き出した。 もちろん、これ一度で終わるはずもなく、背中を壁に預けて前から、テーブルに手をついて再び後ろからなど、銀時の拘り通りドレスを着たまま立ったまま(時には床に手と膝をついて四つんばいもあったが)、土方の蜜が涸れ果てるまで、数週間ぶりの情交は激しく濃く続けられたのであった。 |
| ◆END◆ 「抽送」が正しい、という説を発見。こっちがホントっぽい… |
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