大人への階段 4 |
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だらだらっと銀時がどうでもいいことを喋ったり、ゲームしたり、借りてきたDVDを一緒に見たり――と過ごしているうちに、どうやら土方は彼なりに、銀時に甘えているらしいことに気づいた。 成績が良くてスポーツもできて腕っぷしも強くて無愛想で強面(ついでに顔立ちが整っていて、スキが多くていじり甲斐がある)のわりに、結構優しくて面倒見がいいらしい土方は、同年代の友人たちにとってはずい分と頼りになる存在であるらしい。 何かと悩みごとを相談されたり、やっかいごとを持ちこまれたりしているようだ。 土方本人も、別段そのことを不満に思っているわけでもないらしい。 だが、いくら頼りがいがあるとはいえ、実際は彼らと同じまだ18歳になったばかりの少年なのだ。 時には弱音を吐きたくなることもあるだろう。 けれど土方には、そんな風に甘えられる相手はいないようだった。というか、そもそも甘えたことがないのかもしれない。 ふてぶてしい態度の影に完全に隠れてしまっている不器用すぎる甘え方を見てると、このコは子供の頃から甘えたりワガママを言ったりしたことがほとんどなかったんだな、という気がしてならない。 それならば。 それなら、とことん甘やかしてやろうと思う。 どんなに甘えて寄りかかってもワガママを言っても、馬鹿にされたり突き放されたり嫌われたりしないんだよ。もっと肩の力を抜いていいんだよ、と教えてやりたい。 仕事抜きで、それくらい銀時は土方のことが気に入っているのだ。 しかし、当の土方の意識が、万事屋としての仕事で自分の相手をしてるだけだと思い込んでるので、銀時の気持ちはなかなか伝わらない。 仕事だなんて思ってないから。遠慮しないで友達とも兄貴とも慕っていいんだぜ。と土方が納得するまで言い聞かせてやりたいところだったが、目指しているポジションがその辺りとは微妙に異なるのでそうも言えず、心の距離を縮めるにはどうしたものかと思案する銀時なのであった。 いつも『ヒマだったら茶ァ飲みに来い』という土方からのお誘いメールに便乗して、土方の家でばかり会っているから仕事だと思われてしまうのだろう。 ならば、たまには銀時が誘って外で会えば(要するにデートだ)少しは土方も考えが変わるかもしれない。 だがそれには、なんといっても先立つものが必要だ。 土方に会える時間は確保しつつ、銀時はしばらくバイトに励んでみようと決めたのであった。 そんなある日。 「どもー。大江戸硝子でーす。ガラスの交換に来ましたー」 土方が学校にいる間はお誘いのメールが来ることはないので、安心してバイトが入れられる銀時は、生徒がふざけて割ってしまったという窓ガラスの交換のため銀魂高校へやって来た。 土方の通う高校なので、もしかしたら学生服姿の彼に会えるかもしれないとキョロキョロしてみたが、広い校内、何百人といる生徒の中、そうそう期待が叶えられるものではない。 「あー、こりゃまたずいぶんとハデに割りましたねー」 特別教室が集まる廊下の大きなガラスが1枚、盛大に砕け散っている。 「こりゃ相当ケガ人が出たんじゃないっすか?」 案内してくれた教師に世間話のように訊ねたら、 「いや、それが運動神経だけはいいヤツらでな。校舎だけ破壊して本人はピンピンしてやがるんだよ」 その忌々しげな口ぶりから、犯人は常連デストロイヤーであることが窺われた。 一般社会で同じ事をすれば損害賠償を求められたり、場合によっては器物損壊で捕まったりすることも、学校という閉じられた空間ならせいぜい怒られるだけで済む。ガキは気楽でいいよな、と口の中でブツブツ言いながら、銀時が割れたガラスの破片を拾い集めていると 「ん……?」 透明なカケラの中に違うものを見つけた。しかし、確認しようと顔を上げた時には、すでに教師は立ち去った後だった。 |
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3Zだけど土方の担任は銀八じゃありません |
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