大人への階段 5 |
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ガラスの交換はすぐに終わったが、どうしても気になることがあった銀時は保健室へと向かった。 何を隠そう、銀時もこの学校の出身なので勝手知ったる母校、放課後のこんな時間なら保健医の内野先生はもう帰宅してしまっていることも承知のうえだ。 本来なら無人のはずの室内に、けれど予想通り人の気配を感じ、敢えて音をたてないようそっと忍び込む。 (やっぱり……) 室内に漂う消毒薬の匂い。そして鏡を見ながら首の後ろに傷薬を塗ろうと悪戦苦闘している見慣れた後姿。 「……十四郎クン、なにしてんの?」 誰もいないと思っていたのに、突然背後から声をかけられ土方がビクッと振り向いた。 「ぎん…… 万事屋。なん、で……?」 こんなところにいるはずのない人物の登場に、土方の眼が不思議そうに瞬く。 「ちょっとヤボ用でね。……それより、特別室の廊下のガラス、あれ土方だろ?」 ズバリ言い当てられて、気まずそうに土方が視線を逸らした。 「ま、正確には割ったのはお前じゃなくて沖田クンなんだろうけど?」 なんでそんなことまで分かるんだ、とでも言いたげに再び銀時を見つめ返す。 「血の跡が残ってたよ?」 ひそめられた声に、ギクリ、とわずかに土方の頬が強張った。 ガラスの破片を集めていた時、銀時はごくわずかな血痕を発見した。そして注意して見てみれば、結構な量の血を拭き取った形跡が残っていたのだ。 「ガラス割るようなヤンチャはいくらでもいるだろうけど。咄嗟に血を拭き取って怪我を隠すのなんて、土方ぐらいしかいないだろ?」 出血の量からいって、そのまま家に帰ることもできず、保健室でこっそり手当てしてるんじゃないかと思って来てみれば案の定、というわけだった。 「沖田クンや周りを心配させたくないって土方の気持ちも分かるけどサ。そうやってお前が何でも一人で抱えこんじゃうから、なおさら沖田クンもエスカレートしちゃうんだと思うぜ」」 たぶん屈折した土方の幼なじみは、何らかの反応が欲しくって、意地悪したり迷惑かけたりしているのだと思う。なのに求めるものが得られなくてもどかしくて、どんどん悪戯がグレードアップしてしまっているように銀時には思えた。 「怪我したら怪我した、困った時には助けてくれ、疲れた時には甘えたりって、全然カッコ悪くなんかないんだからさ。……むしろ、そーゆーの隠されると、すごい寂しいんだよ?」 思ってもみなかったことを指摘され、土方が困惑する。 「……俺も、寂しい。もっと頼って甘えてくれたらいいのに、っていつも思ってた」 「俺は……っ 俺はもう、十分アンタに甘えてる…………」 やっぱり――。銀時の都合のいい思い込みなんかじゃなく、土方もちゃんと自覚しててくれたんだ、と思うとほっこり胸の内が温かくなった。 「うん、知ってる。でも俺は、もっともっと十四郎に甘えて欲しいんだよ。怪我したんなら痛いよぅ、って泣きついて欲しい」 「誰がっ……!」 そんな子供みたいなマネするかっ、と憤る土方の後ろ髪をそっとかき上げて細い項を露わにする。 「だって、結構大怪我だよ? てか、一歩間違ったら大惨事じゃん。……痛いだろ?」 「ツッ……!」 白い首筋に走る朱い傷を舌先で辿ったら、痛みに土方が顔をしかめた。 「俺の知らないとこで、こんな傷つくって、しかも隠しとくつもりだったんだろ? 寂しい、っつーか、なァんか腹立ってきたぜ……」 「ちょ…… 痛ェって……」 しつこく傷口をぺろぺろと舐められて、今さらながら銀時を引き剥がそうと土方が抵抗を始めた。 だが遅かった。 土方の血を舐めた銀時は、何かのスイッチが入ってしまったようだ。 「だーめ。2度とこんな隠し事しないように、お仕置きして懲りてもらうから」 「お、しお、きって……」 やっぱり子供に対する発言のようでいて、どこか不穏な響きに土方は硬直する。 「まずは、他に秘密がないか全部見せてもらわないとね」 「なっ……」 項に舌を這わせたまま、銀時が制服のシャツのボタンをぷちぷちと外していく。 「おー。びゅーてぃほー!」 がばりと肌蹴させた素肌は、真珠色に輝いているようになめらかで傷一つなく美しい。 「ちょ、まて、って…… ここを、どこ、だと……っ」 「んー? だァれもいないガッコの保険室」 銀時にとっては「誰もいない」点が肝要であり、土方にしてみれば「学校の保健室」であることが大問題だった。 「わかってんなら、やめ…… あッ……!」 胸の尖りを唇に摘まれ、土方から甘い声があがる。 「そうそう。銀さん今ちょーっと機嫌悪ィから。素直に啼いといたほうが十四郎のためだよ」 「ァァッ、ン…… なん、で……っ」 もう一つの突起を指で挟まれ、初めて見る黒いオーラを纏った銀時にどうしていいか分からず土方は困惑した。 「意地っ張りで強がりな十四郎が、いっぱい啼いたり甘えたりできるようにしてあげるからね」 「はァッ、んんッ……!」 未知の感覚に、早くも土方の眼に涙が滲んでいる。 「うん、イイ声…… その調子でもっともっと銀さんに甘えてごらん」 心底愉しそうな銀時は、土方が本気で啼きじゃくるまで手を緩めるつもりはないようだった。 |
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とてもトートツな銀時でした… なんだコレ |
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